サンデーコミックス 時代COMICSどろろのあらすじです。

第一巻


発端の巻 ある夜、地獄堂に『醍醐影光・だいごかげみつ』が訪れた。

ここには、彫り上げた仏師が狂い死にした、と言ういわく付きの48体の魔像が、安置されており、その魔神像に天下を取るという願いを、叶えてもらうのが目的なのだ。
影光は、その代償として『己の、産まれて来る子供の、体を与える』と言う契約を、魔神達と交わすのだった。
それを覗き見ていた、地獄堂を管理する上人を斬り殺し、魔神の生け贄にする影光。
果たして、産まれて来た子供は、48カ所の欠損した体を持っていた。
影光は、妻に命じて赤子を、盥に入れ川に流すのだった。

百鬼丸の巻 野武士に襲われる一人の少年。その腰に差した刀を目当てに、野武士共は刀を抜いて襲いかかる。
すると、少年は腕を刀の鞘の様に外し、両腕に付いた刀で、野武士達をすべて斬り捨てた。
先を行く少年の後を、草履が付いて来る。そのしつこさに、草履を斬る少年。草履からは、血が噴き出す。
次に、野犬に襲われるが、少年が斬るとたちまち、干涸びて崩れ去る。
この少年の名は『百鬼丸・ひゃっきまる』、14歳。目が見えず、耳も聞こえない。
百鬼丸が、橋の上から河原で大人にリンチされている、子供の様子を見る。リンチの理由は、その大人達(職業乞食)から、子供が盗みをした為である。
やられてもやられても、石を投げ返すその子供=『どろろ』、に大人達はついに、簀巻きにして川に沈めようとする。
そこへ、百鬼丸は急に「死霊の声がする」と言い出す。
誰も信じようとしなかったが、流れて来たゴミ溜まり=死霊、を不用意に触った親玉が、みるみる白骨化して行くのを見て、やっと皆逃げ出した。
どろろは、橋桁に飛びつき、命からがら橋の上へと、よじ上った。
百鬼丸は、橋桁を斬り、橋を陥落させて、その死霊を退治した。
しかし、今度は厄介な事態が、起こった。百鬼丸の腕の刀に、魅せられたどろろが、百鬼丸の後を付いて来るのだ。
どろろを諦めさせようと、百鬼丸は自分の身の上話を始める。
盥に流された、赤ん坊を拾ったのは、川辺に薬草を採りに来た医者だった。
医者は、盥の中身を見て驚いたが、家に連れ帰り粥を与え、赤ん坊の哀れな姿に憐憫の情を覚え、育てようと決心した。
手も足も、目も耳も鼻もない、芋虫の様なその赤ん坊は、長い間死なずに育ち続けた。
ある日医者は、耳元で「何か食べたい」と言う声を聞いた。
その声の主は、赤ん坊で、いつの間にか、口や耳を使わずに会話する術を、得ていたのだった。
希望を感じた医者は、赤ん坊にまともな人間らしく見える様に、と木や陶器などで、体の部品を作り、その赤ん坊に術式を施した。
こうして、見掛けは普通の子供になった赤ん坊は、術後の痛みも克服し、努力の末、作り物の体を動かせる様になった。
しかし、子供の超感覚に惹かれたのか、医者の住居には、物の怪達が集う様になってしまった。困り果てた医者は、子供に「自分を、受け入れてくれる場所を探せ」と最後の手術を行い、百鬼丸という名を与えて、家から送り出した。
そんな百鬼丸は、ある時、雨宿りしたお堂で「48の足りない体の部分は、48の魔物を倒す事によって、取り戻せる」と教えられる。
かくして、百鬼丸の48の魔物を求める旅が、始まった。

法師の巻 旅を続ける百鬼丸の前に、盲目の琵琶法師が現れた。
彼は百鬼丸に「死神の臭いがする」と言い、「どこか幸せな国を見つける」と言う百鬼丸に剣の腕前を披露する。
百鬼丸は、その腕に驚き、弟子入りしようとするが、琵琶法師は、それを拒否する。
琵琶法師の後を付ける、百鬼丸だったが、断崖絶壁の道の険しさに、立ちすくむ。
そして、妖怪に取り憑かれ、体の欠損に、自分は何も出来ないと嘆く。
その姿に、琵琶法師は百鬼丸を、ある場所へと導いた。
そこは、ある村の焼け跡であった。そこには、戦災で手や足などを失い、生き残った子供達が、それでも懸命に暮らしていた。
琵琶法師は「なぜ、一人でがんばってみようとしない?」と言い去って行った。
百鬼丸は、そこで子供達と暮らしながら、剣の修行をした。その子供達の、親代わりになる少女『みお』と出会い、初恋に落ち「みんなまとめて幸せになろう」と誓うのだった。
が、その幸せは長くは続かなかった。
百鬼丸が、剣の修行を終えて焼け跡に戻ると、みお、そして子供達皆が、侍に斬られていたのだ。
「立ち退けと言ったのに、居座ろうとしたからだ。野良犬共が」と言う侍の言葉に、百鬼丸は逆上し、侍共を全て切り伏せるのだった。

金小僧の巻 身の上話を終え、近くに居た猿が、実は死神が乗り移ったもので、様子を伺っていると脅しもした百鬼丸だったが、どろろは意にも介さず、腕の刀をもらうと宣言する。
さすがに、どろろのことが面倒になった百鬼丸は、走り出してどろろを撒くのに成功するが、追いかけて来ないのも気になり、様子を見に戻る。
すると、猿に戦いを挑むどろろの姿が、目に入った。慌てて、助けに入る百鬼丸。
二人連れとなった、と思いきや、再び撒かれるのを恐れたどろろは、百鬼丸との間に川を挟み、お互い別々に野宿をする。
すると、夜中に鐘の音が響き渡り、それが段々と近づき、そして川の中を顔が、小判の形をした化け物(金小僧)が、鐘を鳴らしながらやって来て、百鬼丸の上にかがみ込むのを、どろろは見る。
翌朝、村でどろろが金小僧を見た話をすると、百鬼丸共々縛られ『万代・ばんだい』様の屋敷へと連れて行かれた。
万代様の美しさに、見とれるどろろに万代様は「何か話し掛けられなかったか?」と尋問する。
しかし「何も知らない」と言う二人に【いつもの様に、井戸の部屋へ】連れて行く様に命ずる万代。
井戸の部屋で縛られた二人は、その井戸の中から、サンショウウオに似た化け物が、這い上がって来るのを見た。
後ろ手に縛られた腕の、鞘を払い、仕込み刀で百鬼丸は、怪物に斬り掛かる。
化け物は、泡を食って井戸の中へと戻り逃げ出した。
井戸の探索を、買って出たどろろは、その井戸の底で、大量の白骨と横穴を見つける。
横穴は、屋敷へと通じており、どろろは屋敷の侵入者として、村人に捕まる。
そして、逆さ吊りにされ、責め殺されそうになるが、間一髪で百鬼丸が助けに入り、村人に万代と金小僧の事を話させる。
万代は、村の貧しい者に寄付をし、村の整備工事等も行う、情け深い村の恩人だった。
だが、村が立ち直って来ると、化け物が現れて村人を殺し、金を奪って行くのだった。
そして、金小僧の事は良く知らず、見た者は万代屋敷に連れて行かれる、との事だった。
百鬼丸は、そこで昨夜の金小僧との会話で、ある場所を教えられたと言い、村人を引き連れてその場所へ行く。すると金小僧が現れて消えた。
百鬼丸が、金小僧の消えた場所を掘らせると、中からは化け物に取られた、村の金が現れた。

万代の巻 金小僧は、文字通り金の精で、埋められていたのに、出たくて訴えるためにあの姿で現れたのだった。
万代が怪しい、と睨んだ百鬼丸は、金を配り終えた村人達が、またもや襲われると確信し、どろろに井戸の部屋を見張らせ、村中を警戒に当たらせた。
が、村びとは襲われた。見張りのどろろは、居眠りをしてしまったのだ。
百鬼丸に怒られたどろろは、再び横穴に入り、万代屋敷の万代の寝所に、入り込んで待った。
百鬼丸は、村で暴れ回る化け物を、竹やぶに追いつめ、村人の援護のもと、妖怪を倒した。かに見えたが、化け物はみるみる縮み、しっぽの部分が立ち上がり逃げ出した。
そして、寝所に隠れていたどろろと、その化け物は鉢合わせした。
駆けつけた百鬼丸が見たのは、女夜叉へと変貌した万代に、捕らえられたどろろの姿だった。

人面瘡の巻 屋敷を崩し、人々を押し潰そうとする万代。
どろろを抱えたまま、逃げ出し寺の大鐘楼に上る。
百鬼丸は、弓矢に毒を塗り、夜叉の眉間を射た。もがき苦しむ夜叉に、鐘を突かせ夜叉を叩き殺す。妖怪の正体は、人面瘡だった。
谷に住んでいた妖怪が、女に取り憑き、後から来て村を作った人々から、盗んでは与えてを、繰り返し奴隷にしていたのだ。
目覚めぬどろろを、休ませようとしたが、誰も宿を貸す者は無かった。
泥棒としての、どろろの悪評を知り、そして戦う際の百鬼丸の、作り物の体を見た村人が、気味悪がって恩を仇で返したのだ。
どろろを背負い、黙って村を出て行く百鬼丸。
うなされるどろろを、看病する百鬼丸。どろろは目覚めるが、今度は百鬼丸が苦しみだす。
百鬼丸の手と刀が取れ、本物の手が生えた。万代は、48の魔神の一匹だったのだ。
その刀を、盗もうとするどろろだったが、百鬼丸は刀の鞘に納める。
うなされ、うわ言を言っていたどろろが気になり、身の上話を聞こうとするが、どろろは拒否するのだった。

一巻完
昔は判らなかった事が、突然判ったりする。
琵琶法師は、百鬼丸がただ漠然と『しあわせの國』を捜そうとするのを知り、
世の中はそんなに甘く無いと教えた。
そんなものは無いのだ。無ければ自分で作るか、諦めて世の中を受け入れるしか無い。
それが真実だ。
みおも他の解説で書いてあるから、あえて触れる必要も無いかと思ったが、考えるとそこは戦火で、後遺症を持ってしまった子供達の、溜まり場である事を考えると、実は百鬼丸にはハッキリ見えていなかっただけで、本当は
みおにも顔に傷があったり、どこかに後遺症の部分があってもおかしくは無い。
それゆえ雑兵共に、からかわれ蔑まれる、道化のような慰み者、とされていたのかも知れない。とか、色々想像してしまうのだった
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