1.アトム対アトラスの意味
さて本作アトムの特徴と言えば、やはりアトム対アトラスである。
では、この2人を通して、描きたかった主題は何か?であるが、勿論それは単なる善と悪との戦いではない。
いや、善と悪とは知能を有する者、知恵を持つ生物特有のものだとすると、この善悪は人間のものである。
このアトムでは、アトムの中に勇気を、アトラスの中に愚かさを、見る事が出来る。
この対比だが、対比されるのは同一の存在なのである。
アトラスは、アトムの設計図を元に作られているのだから、当然である。
とすると、これは人の心の暗喩なのである。
そう、人の心の中の葛藤を、表わしたものなのである。
ゆえに、アトム+アトラス=人間となるのだ。
我々は、どちらか片一方の存在ではない。
アトムの様に真っ直ぐに清らかではないが、アトラスの様に弱くも無い。
それが人間の本質なのである。
よって、この物語は我々がアトムに近くなるか?、アトラスに近づくか?に過ぎない両者を具有する存在である、という事を示したかったのだろう。
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