河原で寝ている百鬼丸。どろろはそんな百鬼丸に向かって「辛気臭ぇ、うっとおしい野郎だ」と散々悪態を吐いていると、百鬼丸が臨戦態勢に入る。驚いて飛び退くどろろだったが、背後に何かを感じ振り向くと、巨大な胎児の様な化け物がいた。だがその化け物は「まんま、まんま」と言い、小さな手を伸ばす仕草には邪気は微塵も感じられない。百鬼丸はその化け物を導く様にそこから連れ出そうとした。どろろは慌てて「ハゲた事してんじゃねえ!」と抗議するが、構わず百鬼丸と化け物は去って行く。仕方なく後を追うどろろ。焼けた建物の中で百鬼丸と化け物は紙風船で遊んでいた。それを見てどろろは化け物が本当に無害なのを知り「何だ、こいつ本当にガキか?」と恐る恐る近づいた。「化け物は恐らく、十・二十人位の子供の死霊が集まって出来ている。恐らくこの寺で、」と百鬼丸は言い、「焼け死んだんだな、」と後を受けてどろろが言った。どろろが化け物を哀れに思ったのか、子供に言い聞かせる様に「俺はどろろってんだ」と自己紹介した。すると、化け物からは幾つかのくすくすと笑う声がした。百鬼丸も薄笑いを浮かべている。どろろは訳が分からず、「何だよ?」と聞くと、百鬼丸は「どろろって言うのはずっと南の国では化け物小僧って意味だ」と言った。
どろろが焼け寺で寝ていると、外から男と女の声がした。見に行くと、寺の入り口に握り飯を置いて拝んでいる。「ここは子捨て場だったのか」と百鬼丸もいつの間にかそこにいて言った。その言葉に良く見ると入り口脇には風車も立ててあり幾つか回っている。(注*あの紙風船も、死んだ子への供養の為に供えられていたものだったのだろう)どろろは2人の夫婦ものを見降ろしながら、「クズだな! 人でなしとはオマイらの事を言うんだなw」と嘲笑と侮蔑まじりに吐き捨てた。夫婦ものは生活苦、支配者の金山と醍醐の非道を訴え泣いて「好きでわが子を捨てるか! 」と言った。どろろはそれを聞き、なおの事怒りに火がついた。自分は戦場の真ん中で産まれ、村も焼かれたが父母は最後まで戦った。(注*自分達が生き残る為に弱い子供を犠牲にしなかった、と言うニュアンスが強い)「捨てられた子供がどんな最期を遂げるか判ってんのか!」と一喝し、実際にあったであろう道端に捨てられて飢え死にした子供の話をして、短刀で2人に斬り掛かろうとした。止める百鬼丸。頭に血が上ったどろろは百鬼丸にも「お前だって捨てられたんだろうが!」と食って掛かる。百鬼丸は「俺には育ての親がいた。それで十分だ」と静かに言った。どろろは刀を引き、2人に向かって「お前等の子は寺と一緒に燃えたんだ。こんなもの遅ぇんだよ!」と握り飯を地べたに叩き付けた。
怒りが治まらずプリプリしたまま竹林の中を行くどろろ。「付いてくんな!」と百鬼丸に当たり散らす。「俺は後なんか付けてないぜ、」と百鬼丸に軽く返され、ますますヒートアップする。百鬼丸を先に行かせ、反対方向に歩き出す。が、百鬼丸の行く先に馬に乗った侍の姿を見ると、引き返した。2人の元にやって来た侍は、旅の話が聞きたいから、と自分の屋敷に招待した。どろろは喜んで付いて行く。この侍の家で仕事をする気=盗む気満々だからである。屋敷では主人=鯖目とその奥方とその子供達=七つ児の女の子達、が2人を出迎えた。その後、鯖目とどろろと百鬼丸の3人だけで膳に付く。百鬼丸は、焼けた寺の事について鯖目に尋ねた。鯖目が言うには、あの寺は戦災孤児や育児放棄された子供達がいたが、寺に落雷し何もかも燃えてしまったのだと言う話である。どろろと百鬼丸は部屋に通された。どろろは、あの鯖目が怪しいと言ったが、百鬼丸は鯖目は人間で、寺も落雷で焼け落ちたのは間違い無いと言う。それに拍子抜けしたものの、どろろは布団で寝られるのが嬉しいのか、でんぐり返ししたりはしゃいでいた。が、ふと「あいつにもこの布団で寝かしてやりてぇ」としみじみ哀れな身の上の化け物の事を思い出すのだった。「お前の親はよっぽど良い親だったんだろうな」と百鬼丸が言い、自分の恵まれた親に比べていらぬ引け目でも感じてしまったのかどろろは、「おめぇも身体を取り戻せばお前を捨てた本当に親に」と言いかけると、百鬼丸はそれを制し「俺にはちゃんと育ての親がいる。化け物を全部倒したら、この刀はくれてやるよ。これは復讐の為に鍛えられたもんだからな。お前、仇が討ちたいんだろう」と言った。それは図星の様で、ここで立場が互角になったのを察したどろろは、不貞寝した。
別の部屋ではこの家の七つ児達が相談の真っ最中だった。男が良いか、女が良いか、百鬼丸とどろろ2人の肉の質に対して、の意見である。女の子達の姿が消え、廊下を芋虫の化け物がどろろ達の部屋に向かって突き進んで行く。部屋の障子を細く開け、覗く芋虫達の顔は少女のそれだった。部屋の中にあったのは高いびきをかきながら布団からはみ出し大の字で寝るどろろの姿だけだった。芋虫が四方から眠りこけるどろろを取り囲んだ。そして食いつこうとした瞬間、化け物の背中の節々に付いている目が見開かれ、部屋の隅の天井に張り付き口に左腕を銜えて準備万端な百鬼丸の姿を目にしたが、時既に遅く百鬼丸は飛び降り様化け物達へと斬りつけた。その騒動にビックリして飛び起きたどろろが開口一番「なに〜〜ッ!」と言うその口に、またもや化け物の血が降り注ぐ。今度は飲み下してしまった様で、気色悪さも手伝って百鬼丸に文句を言うが、開け放たれた部屋から庭にいる巨大胎児の化け物を見付けた百鬼丸は外へと飛び出して行く。どろろが後を追い倉の中へ入ると、そこには地下に通ずる抜け穴がある様で百鬼丸は1人でその中へ潜って行った。1人は心細いのか後を追うどろろ。所々松明の掲げられた抜け道のその先には天蓋付きの寝台があり、中には子供達の骨がゴロゴロと転がっていた。それだけではない。奥には沢山の化け物の卵があり、孵化間近なのか中が透けて化け物の幼虫が蠢いているのが見えた。松明でそれらを照らしていたどろろは炎の靡き加減を見て、風がどこかに抜けているのに気付いた。その方向を2人が辿って行くと、階段と上蓋があり蓋を押し上げるとそこは寺の焼け跡だった。一瞬何事か理解しかねているどろろに、百鬼丸はここが餌場だったのだと言う。鯖目の奥方が魔物であり、人間の男と夫婦になって子供を作った為に餌が必要となり、尼に化けて寺に捨てられた子供達を我が子の餌にしていたのだ。そう、子供達は焼け死んだのではなかったのだ。
夜中にも関わらず、どろろは火の見櫓に上り警報を発して村人を集めた。
一方、鯖目は奥方から百鬼丸を殺す様にと圧力をかけられていた。その場に乗り込む百鬼丸。「旅の話を聞こうと家に招き入れたのが魔物だったのか」と鯖目に言う百鬼丸。片や「さあ、殺すのです」と命令する奥方。
どろろはあの卵を地面に投げつけた。割れた中から白いぐにゃぐにゃしたものがどろどろした液体とともに流れ出す。「それがあいつ等の正体だ。お前等は自分の子を奴らに喰わせてただけだ。このままだとお前等も皆喰われて村を乗っ取られるぞ。嫌なら武器持って俺に付いて来いや」と発破をかける。
百鬼丸は襲って来た鯖目を反対に押さえつけ耳元で「本当は寺が燃えてホッとしたんだろう。もう子供を殺さずに済むからな」と鯖目の良心に訴えかける様に話す。だが、ふいに鯖目と百鬼丸の動きが止まる。奥方が百鬼丸を後ろから刺し鯖目も同じくその刃に貫かれてしまったのだ。鯖目は「俺を愛していないのを知っていた、俺はお前を愛している」と奥方に向かって言い事切れた。そこへ村人を伴ったどろろがやって来る声がした。奥方は本性を見せ、蛾の化け物=マイマイオンバへと変貌し部屋から飛び立つ。羽の文様が目玉になった気味悪げな姿である。そこへあの巨大胎児の化け物が立ちはだかり、マイマイオンバの行方を阻んだ。百鬼丸が左腕を外し駆け寄ると、マイマイオンバは一直線に真上へと飛び立つ。しかし、あの巨大胎児の化け物の頭が割れ、中から光を放つ人魂が幾つも現れた。そしてマイマイオンバの身体に取り憑き地上へと引き下ろす。そこを待ち構えていた百鬼丸が一刀両断にする。マイマイオンバは爆発し、到着したどろろ達にその血がぶちまけられる。芋虫達を打ち殺し、卵に火を放つ村人達。"終わったな、"とお互いにアイコンタクトをするどろろと百鬼丸を取り囲む様に、光る人魂が舞い降りた。それは一瞬生前の子供の姿に戻り、2人を見つめるとまた人魂に戻り笑いながら天へと昇って行った。それを見て子供達の名を呼びつつ空に向かい、手を差し伸べる親達。突然、百鬼丸がしゃがみ込む。苦しみながら口から臓器(注*肝臓っぽい)を吐き出す。それを見た村人達は「こいつも化け物なんじゃないか」と言い、「村から出て行け」と口々に言い出す。どろろは「てめえらの子供を喰らった化け物を退治してくれたんだろう。礼を言われてもそんな事言われる筋合いはねえ」と息巻くが、打ちのめされた百鬼丸が、「やっぱり俺は化け物小僧のどろろなんだな」とふらふらと立ち上がり去ろうとすると、村人達は「化け物出て行け」と蔑み追い討ちかけて石を投げる。(注*こんな集団がだから化け物に付け込まれたのだ、とまでは言わないが自分達のした事を知られたのと、明らかに子供達が最期に自分達では無く、どろろと百鬼丸の前にお礼と別れを言いに現れたのに対して親としてのエゴが発動した為、の蛮行なのは間違い無い…あ、やっぱ碌なモンじゃないわなw)とばっちりを喰い、石打たれつつどろろは百鬼丸に「早く妖怪見つけて身体を取り戻して、誰からも何も言われない様にしろ、」と言い「名前も盗ったもんだから返さねえよ」と言った。気持ちを立て直せたのか、百鬼丸は初めて笑顔を見せた。
それから2人が共闘しての妖怪退治の場面が続く。ある時は森の中大木に取り憑いた妖怪を倒して左耳を取り戻し、またある時は荒れ地で巨大な蛇足の化け物を倒して声を取り戻した。しかし岩山で鴉天狗を倒した時に右腕を取り戻したのだが、最期に化け物が「お前はあやつの倅か! 恨むなら貴様の父を」と言い残したのが百鬼丸の心に重くのしかかるのだった。
屍の屯する中を歩き2人は戦の跡地に立つ板の塀に辿り着く。どろろはこの場所の事を知っており、金山と醍醐の領地の国境跡だと言う。そこからは遠くに聳え立つ醍醐の城が見える。どうやらどろろは醍醐に恨みを持っている様で、百鬼丸が水を向けるとどろろは板に向かって短刀を振り下ろし、じりじりと食い込ませつつ語り出した。あいつは親の仇だ、と。
一揆の疑いをかけられ醍醐の軍勢によって火を付けられる村の家々。外に出た物は女も子供も容赦なく膾状態に切り刻まれた。醍醐の兵士達は口々にある男の名を呼び、村の中を探し回っている。それがどろろの父であり村で一揆を首謀していた男、火袋であった。火袋は自ら名乗り出、その身と引き換えに村人の助命をしようとしたが、皆まで言う間も与えられずに次々と急所に矢を射られ立ち往生を遂げた。それを母と一緒に隠れていたどろろは目撃したのだ。その後山に逃げ込んだ母親はどろろに、「泣くな、お前は男だろう。いつか父ちゃんの様な本当の男が現われるまでは泣くな。女に戻りたくなる様な男が現われるまでは男でいろ、」と告げ死んだ。形見の短刀だけが残された。それからどろろは醍醐景光だけではなくその一族をも滅ぼしてやる、と誓ったのだった。
ばんもんで休むどろろと百鬼丸。どろろは寝ており、百鬼丸は右腕から落ちた刀を竹光と入れ替えていた。作業が終わりどろろの寝顔を見たりと物思いに耽っていた百鬼丸だったが、不意に立ち上がった。馬に乗った侍が三人こちらにやって来るのに気付いたからだ。その動きを察知して目覚めたどろろも、百鬼丸の背後に立ち待ち構えた。三人は馬から降り2人に近づくと、金山の残党かどうか調べると言い出す。醍醐嫌いのどろろは冗談じゃねぇ!と反抗し暴れまくった為に斬られそうになり乱闘となる。どろろと百鬼丸は三人を気絶させたが「止めは刺さないのか?」と聞く百鬼丸に「こいつ等殺しても何んにもならねえだろうが! 」と吐き捨てるどろろ。

醍醐の城下町。往来には晒し首も置かれているが、(注*首の様子から金山の残党であるらしい事が判る)それを気にする様子も無い人々が行き来している。飯屋で親父に醍醐の元での仕事を斡旋してもらおうとする百鬼丸。飯場の人足なら、と言う親父。だが、腕っ節自慢そうな男達がゾロゾロと店の中に入り、百鬼丸の方へとやって来る。店の戸を壊しながら表に吹っ飛ばされる男達。百鬼丸が最後の一人の腕をひねり突き倒す。そこへ「確かに使えるかも知れんな。雇われ先を探しているなら俺の所へ来い」と言いつつ若い男が現れた。大勢のお供を連れたその男に百鬼丸は付いて行く事にし、道すがら男と会話する。男が聞く「目が見えないのか?」百鬼丸は答える「心の目がある。」再び男が尋ねる「名前は?」百鬼丸が言う「百鬼丸。」男もそれに対して名乗る「俺の名は多宝丸、父の名は醍醐景光。」それを聞き少し複雑な顔をする百鬼丸。
醍醐の城の多宝丸の部屋に通された百鬼丸。部屋の模様はエキゾチックである。西洋騎士の甲冑が飾られていたり、天井からは中華風の赤いランタンが幾つか吊り下がり、傍らには1人掛けの机セットとその上には地球儀もある。まん中のテーブルには洋酒とグラス、そして珍しい花が飾ってあった。百鬼丸はその花に反応した。どろろ達の様な庶民の住む東屋から比べると、なるほどこの部屋は絢爛豪華な造りであると言える。多宝丸は金山の残党や他の得体の知れない者共が自分や父の命を狙っているのだ、と言う。そして百鬼丸に「飲め」とグラスを手渡した(注*どうやらワインの様だ)そして「それが酒でなく毒だったらどうする?」と言うが、百鬼丸は迷わず飲み干した。それを見て多宝丸は急に「醍醐景光をどう思うか?」と意見を求めて来た。「なぜ?俺に聞く」と不審に思う百鬼丸。自分でも思いがけなかったのか、何か吹っ切れた様に話し出す多宝丸。「この戦乱の世は誰かが統一しなければならない。そうしなければ戦乱の世は終わらない。俺は父と共に戦い戦乱を終わらせ国を平定し、そしてゆくゆくはこの国を継ぐ」と熱弁を振るう。そして百鬼丸に「父上に紹介する」と言い自分について来る様にと合図した。景光の部屋へ向かう途中、多宝丸を呼び止める者が居た。多宝丸の母である。多宝丸は母に百鬼丸を紹介した。母親は軽く黙礼したが、百鬼丸が突っ立ったまま何も返さないのを見て「頭が高い、俺の母上だぞ!」と居丈高に言ったが、母親は百鬼丸の着物を見て血相を変えて歩み寄る。そして「この布地をどこで」と百鬼丸の着物の襟に掴みかかる。思わずその手を握った百鬼丸の脳裏に白い手が盥を水の中へと押し流し、盥の中に白い布に包まれたモノに百鬼丸の着物の布地が添えられている光景と、それを見て泣く女の顔が、それも目の前にいる女の顔が映った。そして次に、額に傷のある男が赤ん坊を殺そうと刃物を振り下ろそうとし、女がそれを止め、男に翻意させようと泣きながら哀願するのが見えた。しかし、男はそれに対し「ここで殺されるのが嫌なら、お前がどこかに捨ててこい」と無情に言い放ったのを百鬼丸は呆然と聞くだけだった。驚き、見つめ合ったまましばし立ち尽くした後、百鬼丸は握っていた手を離し後ずさる。ただならぬ様子に「母上、どうなされました?」と多宝丸が声を掛けると母は「多宝丸が、多宝丸が帰って来た」と言い失神する。お付きの女達が騒ぎ出し、動揺した様子の百鬼丸もまた「悪いがまた来る」と言い帰ろうとすると、多宝丸は「どう言う事だ?理由が判るまでお前は帰さん。城を一歩も出るな」と抜刀し詰め寄る。しかし、反対に百鬼丸にその刀で鳩尾を強かに打たれ動けなくなる。百鬼丸は足早に立ち去った。


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