本編その4
「思えばあれがケチの憑き始めだったんだよな〜」
とギャレットはとぼとぼと歩きながら思った。ギャレットは酒場でコルドバードに声を掛けられなければ、自警団と称する金持ちの私設警護の仕事に就くつもりであった。
酒場で知り合った男に割の良い仕事だと紹介され、大いにその気になっていたのだった。そしてその面接の前日の夜に前祝いの景気付けに一杯やっていた、というわけなのである。

「やっぱ・・・早まったよな〜。はあああ〜〜」
とため息を付くギャレットの目に、天使の姿が飛び込んで来た。

「いや、天はまだ我を見放しちゃいねえ!・・・かもしれねぇな!」
と喜色満面の笑みを浮かべギャレットはウィンドウを覗き込み身を寄せているエルミナの元へと
駆け付けた。

「エルミナ〜。なーに見てるんだよ。何か欲しいものでもあるのか?なんなら俺が買ってやるよ。本日は待ちに待った給料日だからな♪そうだ、これから付き合えよ。今日はばっちりおごるぜ」
と下心見え見えでギャレットは言った。

するとエルミナは、すっとギャレットの方に向き直った。
「ほ〜〜う、・・・おい、お前は私と同期の桜のはずだよな。だったら給料だって大差ないはずだろう?まったく、見栄なんか張って、無理すんじゃ無いよ」
とエルミナは呆れ顔で言った。

一瞬落ち込むも、ギャレットは気を取り直し
ウィンドウを覗き込みながら言った。
「むっ?!、無理なんかするかい。ぜんっぜん無理じゃねえし。ホント無理なんかしてねえよ。なっ、どれが欲しいんだ。ほほう、流石に噂の店だけの事はあるな。洒落たもんが置いてあんじゃねえの。あっ、あれあれ、あの緑色のリボンなんかどうだ! お前の赤毛に良く合いそうじゃん。ああっと、幾らだ。いち、じゅう、ひゃく・・・げげっ。こんなにすんのか!? たかがリボンなのに!!・・・あっ、だけど心配いらねえからな。ほら、ここにちゃ〜〜んと大金が・・・・。あれ?   ないっ、ないぞ。俺の財布がないッ・・・」

「オイオイ、大丈夫か?おまえ顔色が悪いぞ」
と心配気な声に、思わずギャレットはエルミナを見た。
(そんなに俺を心配してくれるってか?やっぱり彼女も俺の事を・・・)
と思いかけた瞬間、次の言葉が飛び込んで来た。

「とにかく、気をしっかりと持て。次の給料日まで、あとほんの一ヶ月だからな。どうしても見つからなければ、しょうがない。この際、人は水だけでどれ位生きられるか?ってのに挑戦してみるんだな。ああ、こりゃ見物かも! あはははは。ま、飢え死にが嫌ならキリキリ必死になって探す事だね。じゃっ!あたしはこれで」
と手を上げエルミナは去って行った。

「エルミナ〜。待ってくれよぉぉ。くそっ、泣き面に蜂ってか、やっぱり俺、天に見放されてるんだろうか?とほほ〜・・・・」

・・・
「おいおい、アメディオお前何を拾って来たんだ。しょうがねぇな。拾い食いはあれ程ダメだって、・・・おんや〜、なんじゃこりゃ。どっかの粗忽者が落としてったんだな。うほっ!こりゃ面白れぇや」
とマルコはアメディオの拾った、"ギャレット"とイニシャル刺繍入りの財布を取り上げて言った。


つづく



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