アルター発売記念! 特別企画連載小説
『ギャレットと6人の狼達』

〜その1・プロローグ〜

「やあっ、とおっ。やあっ、とおっ」
すさまじい掛け声響き渡る、ここはアークティカ城内。
エルミナは今日も、いかつい男達の訓練に余念が無い。
「おら、そこっ。もっと脇を閉める。そんな大きくかぶってんじゃ当たるもんも当たらないよッ!」

「おほーっ、やってる、やってる。よっこらせっと」
と小走りにやって来て、訓練広場一帯に張り巡らされたフェンスに腰掛けギャレットはその様子を眺めた。正式にフェンリルナイツに任命されて式典も済ませはしたものの、ギャレットは相変わらず部下の鍛練もそこそこに抜け出して来たのだった。

(しかし。どうもいけねえな)
ギャレットはこの前の探索の事を思い出していた。
・・・・・〜回想〜

『ギャレット! ギャレット! いやっ、死なないで。あなたが死んだら私だって生きては行けないのよ』
と言ってエルミナは激しく泣き崩れた。
『おいおい、ハニー。君を置いて死んだりするもんか』
苦し気な表情を浮かべながらも爽やかに笑うギャレット。
『良かった、あなたが無事でうれしいわ』
と抱き付くエルミナ。
・・・・・
(なのに、なぜだっ! なぜなんだっ! ! あんなにいい雰囲気だったのにッ!!!なぜ俺とエルミナの仲は全然進展ナシなんだッ!?・・・確かにあの時・・・)

〜更に帰りの馬車の中にて〜
『俺は誰よりも強くなってみせる。このアークティカの為。君の為に! 』
とギャレットが言うとエルミナはギャレットの手を取り
『ええ、なれるわ。きっとね。だってあなたには剣士としての才能に溢れ返ってるんですもの』
『ハニーそんなに誉められると照れるじゃないか。だが、俺の才能ってやつは今に始まった事じゃないんだぜ。実は俺はギターの腕前もスペシャリストなのさッ』
『いや〜〜ん、素敵ィ。ぜひ、今度聴いてみたいわ。ね、いいでしょ?』
『ああ、もちろんだとも。はっはっは!』

〜妄想終了〜・・・・・
「って、約束したハズじゃねえか〜〜っ! 」
と絶叫したギャレットを、皆は一斉に動きを止めて何事かと見入った。
しかし、いつもの事か…。といった表情を見せると、すぐさま元に戻り動き出した。

(うっ、ヤバいぜ、俺! これじゃまるで【ただの危ない人】みたいじゃんかッ!)

「えー、おほんっ! 」
とせき払いしながら立ち上がり
ギャレットはエルミナの元へと近付いて行った。
しかし、ナカナカそれに気付いて貰えなかったのだった。「あー、おほん、ごほん、ごほっ、げほげほげほッ!」
と情けない事にギャレットはむせてしまった。
そんなギャレットの姿をようやく認めたエルミナは
「なんだ、お前か」
とうんざりした口調であっさりと言った。
「どうした、何か用なのか?」
と畳み掛けて続けるエルミナに、ギャレットは一瞬怯んだ。

(なっ、なんだ?気のせいだよな?心無しかエルミナが俺を冷ややかに見ている気がするぜ・・・ははっ、まさかね)
ギャレットは固まりそうな笑顔を顔に貼り付けて
「エッ、エルミナ」
と声を裏返らせながら言った。
(それにしても、今日もイカしてるな。全く、これこれこの強気な眼がたまんねえ。燃えるような赤毛がキラキラ光ってるぜ。背はちょいと高めだが、小振りの乳と尻が妙に色っぽいし・・・)
と妄想に駆られているギャレットに、エルミナは実に面倒臭そうに
「こら、突っ立ったまま何ぼけっと人の事見てるんだ?穴あける気か?」と言った。
「いや、その、つまり、何だ。用って言っちゃそうだが、ええと・・・」
「だから、何なんだ?まったく。ハッキリしない男だな! 用が無いのならこんな所にぐずぐすしていないで、城下の見回りにでも行け! 」
しどろもどろなギャレットに業を煮やしたのか、蛇の様に睨みつけエルミナは頭ごなしに一喝した。

完全に気押されたギャレットは
「くっ、くっそ〜〜。ちっとばかり剣技が俺より上だからって、覚えてろい! 」
と訳の判らない捨て台詞を残して(エルミナの言う通りに城下の見回りに行くべく)走り去った。

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