話のあらすじ 香道の一流派である笛小路流=ふえのこうじりゅう、を受け継ぐ瑠璃姫の婿選びがあった。候補は四人、婿は組香といって香を当てて決める事になったのだが、四人目の男は現れずその場には薬売りの姿が。数合わせの様に香当てに参加した薬売りだが、薬売りの目的は当然モノノ怪を斬る事であった。そんな中四人目の男の死体と瑠璃姫の死体が発見された。騒然となる婿候補達。しかし、すぐさま気を取り直し死体なぞそっちのけで『東大寺』を血眼になって探しはじめる。『東大寺』とは何なのか?殺人の犯人は?モノノ怪の正体とは?

(正体)

(何が起こったか)

(気持ち)

(結果)
香木。姿がぼんやりしていて定かでは無い=煙、が鼻という器官を使用して確認出来る【匂い】それに呼応しているのか、登場人物達も薬売りを除いてはモノクロに近い色合いで描かれている。香を嗅いだ時と惨劇に見舞われる時だけ色付く。 廻船問屋の半井(なからい)。侍の室町。公家の大澤、実尊寺が集まり香道の流派の跡継ぎの瑠璃姫の婿選びに参加した。が、始めは姿を現さなかった実尊寺が、次に瑠璃姫が、そして実尊寺を殺した室町が、と次々に婿候補は死んで行った。 瑠璃姫の持つ欄奈待(らんなたい)という持ち主に権力を与える香木を得ようと婿になろうとし、瑠璃姫亡き後もその事実を隠して婿選びを続け欄奈待を手に入れようとした。皆、瑠璃姫はどうでも良く香木だけが欲しかった。 薬売りの言う所のおせっかい(謙虚)により、取り殺された人々は、殺されたと言う意識を与えられ=自分は死んだという自覚が出来た。そしてその求めていた香木の香りによって昇天できた。
鵺。見る部分で正体が変わる妖怪。伝承によればサルの顔、タヌキの胴体、トラの手足を持ち、尾はヘビであるという合成獣。婿候補達が接した姫やお付きの老婆や少女も鵺が化けていた。 香木の持つ魔力に魅せられ、それを手に入れ権力を得ようと沢山の人間が誘き寄せられ、本人達も気付かないうちに殺されていた。そして、死者達は自分達が生きていると思い込み、生前通りに香木を追い求めている。 興味の無い者にとっては東大寺という最高級の香木も只の枯れ木と変わらない。東大寺自身が自分の価値を誇示し続けたく思ったのである。それには、誰かのものになってはいけないし、その価値の判るもの達がいなければならない。まるで美貌を崇拝してくれる男達を侍らせたいナルシストな性悪女の姿そのもの、である。 香木を求める者達は、それを手に入れられなくする為に、香木に殺されなくてはならず、しかし香木に対する讃美と渇望も続けなくてはならない。香木というモノノ怪の元に魂が縛り付けられ亡者状態となり、香木を手に入れようと死してなお争いを繰り返した。
感想 二次元の漫画は音というものの表現に弱い。アニメの映像はその弱点がカバー出来る。そして立体の生々しさも視覚を錯覚させれば良いし、ともすれば手触りすらそれらしく見せられれば受け手の想像力に補ってもらい誤魔化せる。しかし、嗅覚は例えてもピンと来ないだろう。だが、ここでは匂いが主題だがどんな匂いであるかを理解するのは無理だし、判らなくていい話なのでどうでもいい。ここでこんな話をするのも+味覚だけはどう頑張って表現しようとしても無理! 食べた事無い最高級料理とか、洋酒の香りや味って?って言う事を考えていたからなのだった。そして嗅覚といえば思い出すのが、ジャンプに載ってた男フェロモン出まくりでモテモテの高校男児の話。見掛は男らし過ぎて=ごつい小男兄貴、で到底モテそうに無いが、フェロモンのせいで女達から襲われる位モテる。しかし本人はバリバリの硬派なので迷惑しているというアリエナスな話だ。しかし、案外これは事実が含まれているかも知れない。そう思うのも、その漫画のトンデモ設定を体験してしまったからである。ある男とすれ違った時に漂って来た香りが、脳髄に突き刺さるように衝撃を与えた。つまり【猛烈に好き】な気持ちにさせられたのである。匂い、で。今迄に2人居たんだよ、同じ匂いが。勿論二人は別人=だって一人は外人だったから。今思うと、ある香水とその人の体臭が混ざってその匂いを発したんだと思う。そして2度目に気付いたけど、猛烈に好き=発情orz 10年に1度会うか会わないかの頻度での体験談、でした。鵺については上記の合成獣の姿とされているんだけど、文献では黒煙の中に潜み、声だけが恐ろし気に聞こえる。らしいんで、声はすれども姿は見えずってやつだし、東大寺も匂いはするのだろうが実体は最後の最後迄現れ無い。てゆーか煙こそが本領発揮だが、そうなると焚かれて本体も終わり。片や聴覚、片や嗅覚か、でしか実体が掴めない所が共通している。もっと詳しく言うと、実はこの化け物、声は鵺に似ている、とある。始めに鵺ありきなのだ。鵺とは鳥の名で別名をとらつぐみと言う。その声は物悲しく聞こえる為に、嘆き・悲哀の象徴として使われ、しかも鳴くのが夜間や日中でも曇りで薄暗い時なので、その姿がはっきりと判らないのと相まって、雰囲気的に嫌な出来事の起こる予兆として不吉視されてた様である。この鵺の得体の知れ無さ、声の不吉さと化け物の姿がうまく重なり、化け物は鵺と呼ばれる様になったのだった。元々鵺がいて、それが色んな断片を持つ化け物にすり変わった事を考えると、東大寺があって色んな人物に化けて人を騙し、しかも誘き寄せるエサは確かに存在するのに人々は名だけを耳にする、そうするとまるで実体が無いかの様だ。文字通りけむに巻かれた話である。ちなみにこの話の要である欄奈待(らんなたい)は、正倉院・欄でググったら正倉院・蘭奢待(らんじゃたい)で出て来てキタワァ(n‘∀‘)η 。これが本当の名前らしい。勿論{東大寺}の文字も隠されている。ただ、これはどうも欠片を手に入れたと言う御歴々を見る限りでは『数寄者で権力のある者が手に入れた』のであって、手に入れると権力が授かる訳ではなさそうである。お香については作中でも述べられていますので割愛しますが、最後のシーンが何とも…。確かに値が高ければ高い程良い材料なので勿論香りの方も良くなる訳ですし、良い香りであればある程、場の浄化作用も高いと言われています。特に死んだ人間は肉体が無いので煙を食べると言われているので、良い香りなら仏さんも喜んでくれるでしょう。そして、煙に乗って極楽に行くともいいますしね。にしても、国宝もんのお香をお線香として使うなんてまったく薬売りさんたら、見掛によらず豪気な人ですね。あ、でもこういう使われ方は東大寺自身、不本意で歯ぎしりして悔しがるだろうから、薬売りさんらしいっちゃらしいかな?藁

モドル