あやかしの海「魔の三角」(バミューダ・トライアングル=魔の三角水域の事だろう)に巣食うあやかしを操るモノノ怪。 |
何者かによって江戸へと向かう船『そらりす号』の羅針盤に細工がなされ、あやかしの海へと船を向かわせるように細工された。あやかしの海が見せるあやかし=化け物共によって、襲われた一同は海のあやかしの仲間入りになる危機に陥る。源慧の告白から妹が生きたまま船の中に塗り込められて海に流されたと言う事実発覚。妹の乗る空ろ船が突如として現れる。 |
あやかしの海座頭により、乗り組員の気持ちの内で恐れだけを引き出している。船主の三國屋は財産を失う事が怖く、辻切り侍佐々木は亡者の復讐が怖く、女中の加世は女の幸せを経験出来ないかも知れない事が怖く、呪術師の幻殃斉は自分の力が虚仮威しであるのがばれるのが怖く、薬売りは自分の存在か?人がいる限りモノノ怪は無くならないしね。 |
船の中は何も残っていなかった。妹はモノノ怪にはならなかったのである。妹ではなく、妹が死ぬ時に切り離した源慧の醜い心が切り離されながらも、いつも自分の所行(お庸の乗る空ろ船)を見つめ続ける目として己の半身=邪だった忘れたい心がモノノ怪となり、あやかしを引き寄せ操る力となっていたのだった。そして源慧が捨てたのは、心だけでは無く美しい容姿。美しさも虚栄心の元だったのだろう。 |
高名な僧『源慧=げんけい』の妹お庸=おようが、兄に代わってあやかしの海を鎮める為の人柱となり海に流された。その魂がモノノ怪となったのか?と疑われたが…。 |
妹のお庸は兄を人知れず愛し、決して結ばれぬ仲ならば、と兄の身替わりとなって人柱としてうつろ舟に閉じ込められ、海に流されて死んで行った。兄の源慧は村びとの願いを受け入れて人柱になると決めたが、いざ船が出来ると怖くなり、妹の申し出を受け入れた。 |
お庸は兄を本当に慕い、喜んで身替わりになった。対して源慧は助かった事を喜んだ。僧になったのも出世したい為である。最初は身替わりとなり死んでゆくお庸の気持ちが判らず馬鹿にすらしていた。が、妹の純粋な気持ちを知ると己の心との差に恥ずかしくなった。 |
源慧は妹が自分を恨んで死んで行ったのでは無いか?と不安になった。なぜなら自分の立身出世の世俗にまみれた欲望の為に妹を犠牲にしたという自覚があったからである。そしてもし妹がこれを知ったら(気付いたら)?と言う気持ちが妹の乗る空ろ船の漂う海を、モノノ怪となり見守らせたのであろう。 |