〜ライダーマン 結城丈二は本当に弱いのか?〜
仮面ライダーに正義を教えられはしたが、1号&2号は人生の師匠的存在なのでファンと言うにはどことなく恐れ多い気が(今も)するのだったが、完璧な1号・2号に対して仮面ライダーV3は、若いカッコ良いお兄さん的存在であったし、圧倒的に強いと言う感じもしなかった(要するにまだ成長途中のライダーだった)ので、身近なヒーローとしてこれは素直に『ファンです』と言えるライダーの登場となったのだった。そして後にV3と言う番組は、風見志郎を凌ぐニューヒーローを誕生させた。結城丈二ことライダーマンである。彼は地獄のデストロン軍団お抱えの科学者で、その優れた頭脳と能力(&イケメン)ゆえにデストロンの首領に気に入られていた。それをヨロイ元帥が快く思わず陥れ、抹殺しようとしたのである。ここで疑問。なぜヨロイ元帥は彼を抹殺しようとしたのであろうか?である。普通の悪党=今までの改造怪人や幹部達なら自分の分野以外の人間の事は、軽蔑視する事はあっても=科学者の分際で、とか、発明だけしてろとか捨て台詞したり。ライバル視する事はあまり無いと思う。あくまでも彼らは、『力こそ正義』の論理に則っているからである。非力な科学者は道具位にしか思ってはいまい。なので、そもそも己と比べようなどと思いもしないはずだ。何より結城丈二は、幹部にのし上がろうと言う野心的な男には見えない。ただの研究者だと思うのである。ヨロイ元帥のそこまで突っ込んだ設定=生い立ち生活環境など、は当然判らないので推測の域を出ないのであるが、ヨロイ元帥は変体後=ザリガニ体、あんまり強く無い所から悪知恵に富んだ男=策士、だったと推測される。なので、嫉妬する存在という意味を飛躍させて考えると、彼は他のごり押し幹部達とは違い、ある程度の高い知能を有しており、研究畑を歩みたかったのかも知れない。しかし叶わなかった。その事=自分がそうなるはずだった姿、と今の改造人間としての我が身を比較すると、【人間として=肉体も何も失う事無く】エリートの道を進む結城丈二への嫉妬が凄まじかったのだろう、と私は思うのである。そもそも結城丈二は科学の世界への平和利用を信じ、デストロンに賛同したのである。デストロンという組織については、深く追求し調べれば良かったのかも知れないが、純粋な研究者は一様に世間に疎い所があり、またデストロンもそうそう尻尾を掴ませる様な真似はしないと思うので、(世間には慈善事業の様なまっとうな表看板を掲げている組織に違いない、)ので研究一筋の人の良さそうな結城には、デストロンの実態を把握する事など到底無理だろう。そして首領がヨロイ元帥の口車に乗せられて結城丈二を抹殺を決定したかの様にも見えるが、狡猾な組織の首領が信頼している幹部の言う事とはいえ、出鱈目な報告を鵜呑みにするはずが無い。最終的な=絶対的な判断力をもつ大組織の首領は、そんなトンマな事はしないと思う。それだけヨロイ元帥の勘?を信じていたのだろう。己の保身=デストロンの存亡に於いて、危険分子を排除しようとする防衛本能をである。結城丈二は行く行くはデストロンを裏切るかも知れない、と首領は危惧していた。そして、ヨロイ元帥の報告の中に嫉妬だけではない何か?を感じ取り死刑執行の許可を出したのだ。さて、ここで題名の結城丈二ことライダーマンは本当に弱いのか?であるが、身体的能力=彼の改造部分、は右腕のアタッチメントだけである。このアタッチメントを変える事によって様々な特殊能力を発揮する。言い換えれば、ライダーマンは右腕が使えなければ普通の人間なのである。首領の狙いも結城丈二にこの研究を進めさせれば普通のデストロンの戦闘員ですら、V3にとってはある程度の脅威となる能力を持たせる事が出来る=今までの改造人間は身体的能力スペックが高い者をわざわざ選んで改造していた為、戦闘員の様な低スペックでもアタッチメントと特種スーツを使えば何とかなる、と踏んだからこその結城丈二の厚遇なのだろう。そして一定の成果を上げて研究は完成していた。何の事はない、もう結城丈二は用済みだったのだ。そうして処刑されそうになり、右腕を失った結城丈二は面白い事に風見志郎と同じ立場となり同様の感情を抱いた。復讐である。彼はV3になる前の家族を殺された志郎と言える。ポジとネガの関係である。力を得て私怨を捨て去った志郎=V3と、力の一部は手に入れてもほぼ人のままであるがゆえなのか、復讐の鬼と化す結城=ライダーマンは当然理念の違いから対立関係となる。用済みで始末されたとも知らぬ結城丈二は、首領には恩義を感じこそすれ、当初は弱者救済などは目に入らなかったのである。ここにこそ結城丈二の迷い=弱さはある。(このサイトのあちこちで力説して来たが)人間とは悪と善を兼ね備えた存在なのだ。人間であるライダーマンが善と悪の狭間で迷う姿は、改造人間である仮面ライダーから見れば確かに弱く、脆い存在である。だが、V3とひょんな事から対決する事になり、圧倒的な能力の差を見せつけられても彼は信念を曲げず戦う道を選んだ。仮面ライダー達が、肉体を失い異形の身となりその生きる意味を弱者救済に見出したのは、当然の帰結なのかも知れないが、普通の人間である結城丈二が最終的にそう結論し、最期には自己犠牲という偉業をやってのけたのだ。その事こそ、私に結城丈二をこそヒーローたらしめるものである、と言う確信に至らせたのだった。腕力だけではない力、それこそが仮面ライダーに必要なもの、を改造もされていない結城丈二は手に入れたと言う事だ。『果たして結城丈二が弱かろうはずが無い!!』


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