第4話「人間のクズやお払い」
殺しの現場に六文銭を置く男達。髪結処で地回りのヤクザが殺され、口に六文銭が押し込まれるのを目の当たりにしてしまった半次は、鉄の所に知らせに行くがヤクザ同士の抗争なので鉄は歯牙にもかけない。それよりも、半次が治療を終えたばかりの患者の婆さんにぶつかり、婆さんが腰砕けになったのを見て、治療が無駄になったと怒る。その後、半次と鉄は連れ立って花札勝負のリベンジに赴くが、相手の男弥七は気が向かないと相手にしない。その頃、牢名主の天神の小六の元に六文銭が届けられる。それを見て小六は中村主水を呼び出し、六文銭を見せる。主水は娑婆で起こっている一連のヤクザ殺しが、聖天の政五郎の仕業であると既に調べ上げていた。小六は主水を用心棒に雇い、牢の外へと抜け出して政五郎に会いに行く。「どういうつもりか?」と聞く小六に政五郎は「隠居しろ」とその座を狙っている事を隠そうともしない。それに対して小六が粋がってる若造呼ばわりすると、政五郎は小六に牙を剥こうとする。そこへ主水が登場。政五郎の手下達をたちまちに打ちのめす。主水の強さを見て手も足も出ない政五郎。目に余る政五郎の処遇に対して会議を開いていた小六配下のヤクザの親分達は、町方に踏み込まれ大人しく同道されようとしたが、それは罠で同心は政五郎の手下が化けたものだった。不意を突かれて皆殺しに会うヤクザ達。しかし、その場面を見てしまった子供までも政五郎は手にかける。鉄達仕置人は子供の母親の為に政五郎を強請ろうとする。だが、その場に弥七が現れ、自分は元政五郎の手下であったが、政五郎と手を切りたくなり抜ける代わりに右腕を落されたのだと告白する。ヤクザの非道さを思い知らされた一同のテンションは下がりまくり、強請りは取り止めになる。牢内の小六の元に新入り を装った殺し屋が来た事で、小六は政五郎を始末しようと肚を決める。弥七は付き合っていた女の子供を殺した詫び料を払え、と政五郎を呼び出し差しで勝負するが返り討ちに合ってしまう。半次が弥七を殺したのは政五郎だと目撃者から聞き出して来る。子供の母親が子供と弥七の恨みを晴らそうと、頼み人となり鉄達は仕置きを決意する。そこへ主水が「小六が動き出した。放って置いても明朝には政五郎は小六に粛正される」と知らせに来るが、その前に仕置きすると息巻く一同。最初は乗り気ではなかった主水も妙案を思いつき参加する。おきんが手紙を持って政五郎の元へ行く。小六の急襲と会って話したいという文面に、罠かも知れないと思いつつも政五郎は指定場所の寺へと手下達をゾロゾロと引き連れて行く。その途中で主水が現れ、政五郎に自分を用心棒に雇わないかと持ちかけ、言いくるめて手下達を引き上げさせ、政五郎と手下三人だけにするのに成功する。そして主水は後を付けられていると言い、半次と錠に襲わせ政五郎一人で寺に行く様に仕向ける。そこには鉄が待ち構えており、油断を突いて政五郎の利き腕をバキバキに捻りまくる。側近の子分達は政五郎を見つけるが、腕があらぬ方向にねじ曲がるその姿を見た途端に態度を豹変させる。子分達から散々罵られた政五郎は逆上し子分の1人を刺し殺すが、残りの2人に膾に刻まれる。そこへ主水と錠が現れ、子分2人を仕置する。翌朝、仕置き帰りの一同は小六の軍勢と出くわす。橋の下に隠れながら、小六の勢力の巨大さに驚嘆する主水。他のメンバーは仕置き料が安過ぎたと悔しがるのだった。
ツボッたみどころ。黒沢年夫=政五郎、が若造扱いされているのが、時代を感じさせる。林隆三が弥七役だが、必殺必中を彷佛とさせる。
第5話「仏の首にナワかけろ」
焼き芋を売る男が、ヤクザに所場代を請求され断って袋叩きにされる。そこを通り掛かった鉄は、ヤクザ達の骨を外しまくり男を助ける。見覚えのあるその男は鉄の流島先、佐渡の金鉱での穴蔵兄弟である弟分の安蔵だった。鉄は 坑道が崩れ、生き埋めになったのを安蔵に助けてもらった恩があった。鉄は安蔵を仲間の元に連れて行き酒盛りを始める。そこへ安蔵に因縁をつけたヤクザ達の親分、黒達磨の大八が鉄達のいる観音長屋に現れおきんを人質に取り、安蔵を渡せと迫る。騒動を聞きつけた主水が現れ、鉄に金で(おきんが大八から掏摸取った金)示談させる。大八は安蔵が借りている土地を妾の為に欲していたのだった。地主が大八に脅され怪我を負わせられる。しかし、その後のある夜地主は安蔵が貸した土地よりももっと場所を広げて商売をしようと工作しているのを見て、土地の乗っ取りを企んでいると見破り安蔵に詰め寄るが、安蔵に殺される。そして何食わぬ顔で地主の娘お春と共に鉄の元に現れ、地主を捜して欲しいと訴える安蔵。半次とおきんは心当たりがあると、大八の家に厄よけの獅子舞を装い入り込むが、地主の姿は無い。安蔵は錠の元に現れ、常連客だった下駄屋のおかみが亡くなったのでと棺桶を買いたいと言う。最初から安蔵が気に食わない錠は不審に思うものの棺桶を売る。主水も安蔵の調書を調べて不審に思い、地主の行方不明の事情聴取のついでに安蔵の家を軽く捜しまわる。そこに現れた鉄に主水は安蔵が欲しい物に対して見せる異常な執着心と汚いやり口を考えると、鉄を助けたのも鉄がふんどしの中に隠していた金鉱でくすねた金が目当てだったのでは?と言う。が、鉄はそれでも人助けをしたのだから、と安蔵を庇う。そしてまたある夜、自分の領土を広げている所を地主の女房に見咎められた安蔵はまたもや地主の女房を絞め殺し、首つりに見せかける。その葬式の場に居合わせた安蔵&鉄達仕置き人達と大八。半次は自殺するまでに追いつめたのは大八のせいだと責め立てる。憮然とする大八。その夜、忘れ物をしたと地主の家に上がり込み、娘のお春と無理矢理関係を持ち入り婿に納まる安蔵。そして大八の元に赴き、悪い噂を流している観音長屋の鉄達一同を殺して欲しいと頼む。お春と夫婦になったと言い、お春達の商売していた茶店まで乗っ取る安蔵を見て、鉄はその場を去る。錠は安蔵が隠してあった犠牲者の遺品を見ているのを目撃し、下駄屋のおかみの墓を確かめようと言う。主水立ち会いで墓を掘り起こそうと行ってみると、既に鉄が掘り返していた。がめつい安蔵が他人の棺桶を買うのはおかしいからだと鉄は言う。そして棺桶の中には、おかみと地主の遺体が。鉄は娘の お春から頼まれた地主の探し賃をそのまま仕置き料にする。鉄は安蔵を呼び出し、ロシアンルーレット首つりに参加させる。「俺が死んだらお前の身代り」の言葉に安蔵も参加する。鉄、安蔵、鉄、安蔵の順番で一本づつ縄は切られたが、鉄は安蔵が首から縄を外す前に全部の縄を切る。首つり状態の安蔵。その懐から小判が落ちるがそれを追加の仕置き料にする。やはり気が咎めるのかその場に1人佇む鉄の前に大八一家が総出で出入りの格好をしてやって来る。安蔵が仕向けたのだと悟った鉄は、1人で応戦し撃退する。そして店を取り戻し、元気に働くお春の元に鉄はそっと金を置くのだった。
ツボッた見どころ。ヤクザの親分黒達磨の大八は面構えも悪党全としているが、その上手を行く一見腰が低く、良い人そうな安蔵。大八が少し哀れである。

第6話「塀に書かれた恨みの文字」
錠の家に転がり込み、錠の仕事の音がうるさいと文句を言う鉄。女郎のお島が田舎から出て来た父親と妹に女郎であるのを隠す為に、おきんが髪結いの師匠となりその弟子に成り済ます為に家を貸したのだった。悪い事をして稼いでいるのではないから隠す必要は無いだろうに、と冷ややかな錠。お島の父と妹は騙されたまま田植えがあるからと帰路につく。が、辻斬りに会い2人とも斬り殺される。そこを帰宅途中の主水が通りがかり2人の遺体を発見する。ついでに、闇に紛れて去って行く人影も発見する。翌朝、半次が大八車に衝突してムチウチになったのを鉄に治してもらっている所へ、主水が現われる。お島の父親と妹が辻斬りに殺されたのを知らせに来たのだ。主水は辻斬りの犯人が守山藩の江戸屋敷に入るのを確かめていた。犯人が判っても12万石の大名では相手にならない、と主水と鉄は見て見ぬ振りをしようとする。しかし、奉行所の前に辻斬りの犠牲者遺族達が訴えているのと、幼い姉弟が小銭を持って来て父親の為に犯人を捜して欲しいと訴えるのを聞き、主水は上役に自分の見た事を報告する。しかし、面倒を嫌う上役は見間違いで済ます。 鉄の元に行く主水。町方のやる気の無さに落胆が激し過ぎたのか、手当をもらい損ねたので鉄に金を借りに来たのだ。鉄は主水にお島が年季を伸ばして作った金を渡す。天神の小六に取次いでもらい調べてもらおうというつもりらしい。鉄と主水は自分達の仕置きにしようと決める。半次がバカ殿が辻斬りに出掛けたと知らせに来た。浪人を寄ってたかって斬って戻るバカ殿達。翌日、守山藩の正門前に、街中にも辻斬りの犯人は守山藩の侍であるという瓦版が貼られた。瓦版を刷りまくる半次と貼りまくる鉄と錠。町中の噂になり、守山藩のバカ殿は老中に呼び出され犯人を引き渡せと言われる。バカ殿はむしろ辻斬りを止めようとしていた家来の侍に、裏から手を回すからと言い含めて身代りに出頭する様に命ずる。家で魚の食べ方が汚らしいと散々せんとりつに嫌味を言われている主水の耳に念仏を唱える鉄の声が聞こえる。「主水の思惑通り身代りが自首して来た様だ」と告げる。主水は天神の小六に、身代りの侍から本当の下手人の名前を聞き出して欲しいと頼む。小六も辻斬りに腹を立てていたのか乗り気で承知する。その夜、小六は身代りの侍の牢に入り、騙されて牢に入れられたのだ。賄賂で解決しようとしても、奉行の元に金が行くまでに何度もピンハネされるので無駄だと言う。それを聞いて話が違うと青くなる侍。自分の殿が犯人だと白状する。そして殿が吉原通いをしている事も聞き出す。そして吉原に行った殿は執心の太夫が来ず、太鼓持ちに化けた半次に女を紹介すると誘い出され、鉄に気絶させられ錠に棺桶に入れて連れ去られる。着いた先は牢の中。新入りの洗礼の決め板を尻に嫌と言う程食らい、便所掃除をさせられる殿。身代りの侍は釈放され屋敷に戻るが、殿が捕まったと聞き激怒する家老。翌日元結いを斬られざんばら髪の殿が屋敷に辿り着くが、門は閉じられ閉め出される。家老は殿は急病で死んだ事になっており、養子縁組で次の殿も決まったと幕閣に報告済みであると告げる。そして出家を勧め冷たく突き放す。そして辻斬りを止めずに加担した侍達も切腹を申し渡す。が、それを半次から聞いた錠と鉄は切腹などさせて堪るか、と屋敷に忍び込み逃げようとして身代りの侍と見張りの侍を殺した2人の侍を仕置きする。

ツボッた見どころ。良い声だと思ったら身替わりの侍はささきいさおだった。殿はねじねじの中尾彰だ。うーん若いな。



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