火の鳥2772 愛のコスモゾーン

これは1980年に公開されたアニメ映画版の火の鳥で、原作漫画は無いオリジナルバージョンアニメなのだが、内容的には典型的な火の鳥パターンを踏襲している。←この《オルガ》という育児ロボットと、オルガに育てられた青年《ゴドー・シンゴ》の関係を軸に=この辺りは人間では無い女と人間の男との間の恋愛が描かれる未来編・復活編と同じピグマリオンコンプレックス=人形愛=人間では無いものへの性愛、である。そして人類の文明が爛熟し、末期を迎えたという世界観は未来編の様であるし、主人公と取り巻く人間関係にはその当時連載していた未来人カオスに類似している。つまりこれは手塚漫画の要素たっぷり盛り込んだ(キャラのキャストも)エンターテイメントな作りになっている作品であると言える。個人的な感想としては、ゲームでも音はうるせえので消してやる位の私が、この2772の音楽には結構感動した。映画のストーリーの最初の方はかなり長く、無声アニメ映画な作りになっていて登場人物は一切しゃべらずに場面は音楽のみなのだが、素晴らしい。手塚漫画はディズニーに影響を受けていてそのスタイルを真似ているのだろうが、その手法は今見ると逆に新鮮である。

←バックシャンで素敵なオルガさんのお尻

あらすじ 試験管ベビーとして生まれ、育児ロボットオルガに育てられたゴドー・シンゴは、その誕生時の適性検査で宇宙パイロットとしての人生が決められていた。生まれながらに身分制度のある世界では職業の選択も自由恋愛も出来ず、ゴドーは偶然知り合った特権階級の娘レナと、恋に落ちて悩むのだった。彼女と逢瀬を重ねるがついにバレ、強制労働収容所に送られるゴドー。そこで猿田博士と出会い、滅びつつある地球(=植物などの残された一部の自然は特権階級のもので、ゴドーはそれまで実物の花すら見た事が無かった)を救う為に2772と呼ばれる宇宙生物の捕獲を頼まれる。最初は乗り気ではなかったものの、天変地異の前触れを体験したゴドーは危機を実感し、収容所に自分を助けに来たオルガも伴い猿田と共に宇宙船を奪い、収容所から宇宙へと飛び立つ。そして星々を巡り獰猛な2772と呼ばれる生物と遭遇し、捕獲しようとするが反対に返り討ちに会いオルガも黒焦げにされ、乗組員はゴドーを残して全滅してしまう。その状況でオルガを愛していた事に気付き、絶望するゴドー。2772の捕獲さえどうでも良くなってしまう。しかし、不思議な事にそんなゴドーに降参する2772。ゴドーの持っているものを分けてくれたら何でも願いを叶えると言う。ゴドーはそれと引き換えにオルガの復活を願う。蘇ったオルガと二人で別の惑星で楽しく暮らすゴドーだったが、やはり地球の事が忘れられない。沢山の食物の植物を地球に持ち帰るゴドー。しかし、逮捕され食物も奪われそうになる。だが、地球も終わりの時を迎えていた。大規模な天災が起こり、全てが地に呑み込まれ崩壊して行く。ゴドーは自分の命と引き換えに地球を救って欲しいとオルガ=2772に頼む。願いは聞き届けられ、地球は再生する。ゴドーは死に、新たに赤ん坊となって蘇る。オルガも人間の女性に再生する。おわり。

ゴドーはある意味地球になったので、神なのである=ゴッド=ゴドー 

これが漫画版の2772だ!作画は御厨さと美氏。これはうーん、絵柄に物凄い既視感がある。ぶっちゃけ、星野?(私にはSF漫画の巨匠)と思っちゃったぜ。劇画っぽい濃い絵柄なのだが、やっぱりSFっていったらあっちが本家みたいなものなんで、上手いのだがイメージがかぶり過ぎて今一つブレイクし切れなかったのでは?と勝手に考察してしまった。


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