キリコ片や難病患者を何とか治療して治す医者と、片や治療を諦めて患者を安楽死へと導く医者。これは実は対極にいる者では無い。Dr.キリコの言い分を聞くと、きちんと患者の為を思ってしている。その証拠に、自殺志願者には命に対する冒涜として鼻から相手にしていない。キリコは無駄な延命処置による患者の苦痛という負担に対する問題を投げかけているのだろう。
巻・話・題名 あらすじ
その1 9巻79話
『ふたりの黒い医者』
あんちくしょーめ!
★★★☆☆
安楽死させて欲しいと言う母親自身の依頼を受けて出向いたが子供達に依頼されたブラック・ジャックに患者を横取りされちまった。
その2 10巻90話
『弁があった! 』
あんちくしょーめ!
★★☆☆☆
妹のユリが勝手に親父をブラック・ジャックの元に連れて行って手術を依頼したがダメだと思い毒を注入したんだが手術は成功していた。
その3 11巻102話
『99,9ぱーせんとの水』
あんちくしょーめ!
★★★☆☆
グマという伝染病に罹ったブラジルの金持ちを安楽死させたが感染してしまい1人孤島で死のうとしたら妹のユリがブラック・ジャックを呼び寄せて治された。
その4 13巻120話
『死への一時間』
あんちくしょーめ!
☆☆☆☆
ニューヨークに安楽死の薬を仕入れに行ったらスリのガキに鞄ごと盗まれ母親に薬を使われたが居合わせたブラック・ジャックの処置で救う事が出来た。
その5 13巻123話
『最後に残る者』
あんちくしょーめ!
★★★★★
胎児姿で生まれた6つ子の一人を安楽死させようと呼ばれたがブラック・ジャックの密告で空港で捕まり監禁されている間に奴が奇形児を治しちまった。
その6 22巻205話
『小うるさい自殺者』
コノヤロー! 迷惑だっっ!
★★★★★★★★MAX
ブラック・ジャックが勝手に押し付けて行った自殺志願の小僧が大事な機械をぶち壊した上に患者の少女まで連れ去っちまった。ブラック・ジャック本当にあんちくしょーだぜ!!
【番外】22巻210話
『B・Jそっくり』
キリコは出て来ないが、もし出て来ていたらこの話に出て来る院長の黒松を忌み嫌うだろう。なぜならキリコのポリシーに真っ向から反対する人間で、黒松は単に患者の延命のみにしか興味が無いからである。
★☆原作の持つ魅力とは★☆
人間臭く金に汚いし、腕はあるが悪徳医という世間の評判で、本人も否定しないし実際そうなのだ、が、それを覆す行為があるからこその、『ありふれた男ではないブラック・ジャック』の本領発揮だと思うのですよ。まさに、ツンデレ。原作の物語の魅力とは?、ブラック・ジャックの手術の腕云々ばかりに目が行きがちであるが、実は患者とその周りの人々が、ブラックジャックの投げかけた波紋によって動く過程にこそ感動があるのである! と思う。そこではブラック・ジャックの 手術の腕とは関係なく進む、ブラック・ジャックにもわかっていながらどうしようもない切ない命のドラマが同時に進行する。その患者の生への執着や真摯なる姿勢=本気度、それに突き動かされブラック・ジャックが患者の為に腕を奮い、我々読者もそれを応援し、【体だけでなく時に心の救済の物語】という命の賛歌に感動! というね。まさにこれに尽きるのでは無いのでしょうか?