この話では、ご存知スターシステムが利用されており、不死鳥つまり火の鳥が登場しております。が、本家本元でもたまに火の鳥不在、もしくはパチモンのご登場する物語は多々あるということで、火の鳥ではなくブラックジャックに本物が出るはずもなくここでも‥。おっとネタバレにはご用心ですぜ。ここ見ているの時点で、すでにネタバレ覚悟のはずですね。こりゃ失礼!くわしいことは、あらすじと解説をどうぞー。
ブラック・ジャック未収録話『不死鳥』
〜あらすじ〜
 荒涼とした土地にジープを走らせるブラックジャック。車中でカセットテープを再生しメッセージを聞く。来てくれれば一千万円払うというもの。だが、指定された場所は廃墟のようで誰もいない。あたりを探して足跡を発見。ついでに人も発見。発見したのはあまりにも見すぼらしい姿の老人だった。
 そこに女が現れる。老人は200歳で、火の鳥の血を飲んだので死ねないのだという。そんなのは迷信だとブラックジャックは否定するが、女は老人は若い頃に銃で火の鳥を撃ち殺し、血を飲んだ為に病気になっても死ねないのだ、と言い火の鳥の血を使えばどんな病気も治るはずだと主張し、さらにブラックジャックに火の鳥を見せると言って崖まで連れて行った。女はブラックジャックに銃を持っているかと聞く。ホタルのように発光している物体を見て唖然とするブラックジャックは女の熱意に負けて老人を手術する。肉腫(つまりガン)が身体中に転移している上に輸血も足りないので、このままでは老人の体は危ないとブラックジャックは女に言うが、女は火の鳥の血を飲ませれば問題ないという。
 老人のように、ただ生きているだけなのは意味があるのか?とブラックジャックは言う。そして女は老人を救う為とお礼と称してブラックジャックに火の鳥を撃ち殺させる。見事に鳥を仕留めるブラックジャック。しかし、女は火の鳥を渡すつもりはなく、ブラックジャックの後頭部に石を投げて傷つくブラックジャックから銃を奪い、用済みだから立ち去れというのだった。
 大人しく帰ろうと支度をするブラックジャックに、目を覚ました老人が語りかける。老人は火の鳥の血は飲んでおらず、執念だけで生きてきたのだと言う。女が火の鳥を捕まえに崖に向かったと告げると、毒蛇の巣があると言って力尽きる老人。
慌ててブラックジャックが崖に戻ると、女は毒蛇に噛まれて倒れていた。ブラックジャックはその毒蛇も発光しているのを見て、光の正体がバクテリアだと見抜く。女はそれを知るとがっくりと力尽きた。
 ブラックジャックは人間を治すことが仕事で、死ななくすることではないとつぶやき帰って行くのだった。
というあらすじ。
もうお分かりですね。マズイ部分。これは描かれている場所、土地建物どう見ても外国でのお話のようです。ブラックジャックは飛行機で行ったんでしょうか。しかし、外国に銃は持ち込めません。使いたかったらどうするか?もちろん現地調達ですよ。私が若い頃は、世の中のおじさんたちが買春と短銃(ピストル
を撃つのが目的で、よく休暇のたびに韓国に行っていた。のは事実です。
この話のブラックジャックの銃は鉄砲(猟銃)でしたけど。
医者なのに猟銃を使って、もいいけど(お医者さんでも狩猟が趣味の人もいるかも知れないので。昔は猟銃だとか猟犬などが必要でお金がかかり、外国のお貴族様のなさるウサギ・キツネ狩りのように金持ちの道楽でした。宮沢賢治の注文の多い料理店を参照してみてね!)この物語では外国は危ないから身を守る為に銃器類を持ってる
としか思えない描写が規制なのでしょう。もともと火の鳥を撃つのが目的で行ったわけじゃないし。ならば、何で銃なんか持ってるの?の答えは護身しかありえません。他の物語でもピストル持ってた話があった気がします。でも護身に猟銃を持ち歩くのはもっとダメでしょう。そんな危険な場所に行くのがおかしい!自己責任にもほどがある‼︎なんて今の世の中では非難されそうですね。
そして日本の猟銃組合、猟友会は猟銃の使用にはかなり神経質に細心の注意を払っているようなので(安倍元総理も手製の銃でお亡くなりになった時に、いち早く猟友会が『普通の猟銃は使用されていないと思う』という趣旨のコメントを出してましたね)外国への銃器の持ち込みは当然、許されていませんし猟銃免許は精神鑑定とかものすごく 条件が厳しくされています。(何とかに刃物、は勘弁して欲しいし、これなら安心だね。でも、前に住んでいた住宅街に隣接する公園でエアガンぶっ放したバカがいて、ウチのガラス窓にも小さな丸い穴が空いていたことがあって大騒ぎになったことがありました。←マジです。犯人はわからず
 この話だけじゃブラックジャックが猟銃を日本から持って行ったのか
現地調達したのか、まずわからないのが問題。時代の流れで外国では銃乱射事件が多発して多くの犠牲者が出ている状況の中、中途半端な描写はマズイ世の中になってしまったのだと思われます。もっともゴルゴ13ぐらいになると銃は物語の前提として存在しているし、デュークは確信犯的な無差別テロリストではないらしいので何とか漫画 として成立しているのでしょう。対してブラックジャックは人の命を救う医者だし。タテマエ的にもねー。
 後は、気力だけで人間は生きられるのか?200歳は無理なんじゃないかと思う。単純に肉体の耐久性の問題があると思う。私は125才までは生きることが可能だけど、それ以上は無理!と教わったんですが、教わらなくても自然な形で200才まで生きるのは無理でしょう。火の鳥の血、じゃないけど人工物を体に入れたり置き換えたりしないとダメなんじゃないかと思う。
それとブラックジャックは、ただ生きているだけで云々という発言がありますが、何かしなければ、何かができて人の役に立つとか、働きがあるとかでなければ、生きて行く資格がないのでしょうか?
ちなみに、散々若い時に好き勝手して早死にした親戚がおりますが、残った迷惑をかけられた親族たちは「これだけ好き勝手したんだから満足だろう」とか言ってましたが、私はそうは思いません。周りが勝手な判断でそう言っているだけです。
 私は若い頃に何一つ好き勝手して生きては来れませんでした。むしろ自分を押し殺して、誰かの何かのために生きてきまして、ようやく好き勝手生きてますが、それでも少しも満足して死ねません。私は人に何と言われようと、生きたいだけ好きに生きるつもりです。つまり好き勝手しようが、しなかろうが生きるのに関係ありません。人は生きたいから生きるんです。生きるのが辛くて死にたいと感じていても辛いのが嫌なだけで、生きるのが嫌なわけではないからです。
この辺の課題は、ドンドラがスターシステムで出ている話でも、似たような内容でしたね。
 気力は大事だと思うけど、それだけでどうにかなるほど甘いもんじゃないと思います。ただ、老人が気力で生き抜いたのとは逆に、火の鳥がただの鳥だったと知った女が、がっくりして生きる気力まで失って死んでしまう、という対比はエスプリが効いていて面白いと思います。