第話『発作』

劇中台詞 【B=ブラック・ジャック ピ=ピノコ 娘=患者 母=患者の母 店=店員】

店A「えー、たたき売り家具店でございます。ありがとうございます」

店B「あー、月賦のよにげやでございます。御注文のカラーテレビをお届けに上がりました」

ピ「はいはい、さあこっちへはこんれちょーらいよのさ」

店C「まるぞんデパートです。おじょうちゃん、ピアノはどこへ置きましょうか?」

ピ「ちゃんらないの、さんといいなおしなちゃい」

店C「すいません。おじょうちゃん」

ピ「うん、この〜〜」

店D「んちわーす、壁紙持って参りましたあ」

ピ「ごくろうしゃん、あっ、れぱーとやさん。壁紙はゆかやピアノろけてくらさい」

店C「えっ、これから壁紙貼るの?たった今置いた所なのに」

ピ「いいかや、ろけて。お礼にきゃんれーひとつあげましから」

店C「ひえーん、こいつはひよいめにああさえた」

ピアノ転調

B「んっ、何だ! 何だ、ピノコこの部屋は!! 」

ピ「そうれしゅ、なかなかきえいになったよのさ」

B「誰がこんなものを買って良いと言った?ピノコ」

ピ「そうおこやないで。んーこれから訳話しまちゅ」

B「訳なんか聞きたく無いッ、すぐに引き取りに来てもらえ。こんな無駄な家具は家に必要無いッ」

ピ「ひやーん、ひよい、ひよいわ。せっかくいいお家にしようとしたのに。ひえーん、ええーん、世界一のせんせえらかやいいお家に住んで欲しかったらけよー」

B「ああっ、もういい。ピーピー泣くなッ! 」

ピ「えへん、へん、へん」

B「ピノコ、お前はまだ赤ん坊だ。世の中ってのはな、何をやるにしてもまず金がいるんだ」

ピ「えーん、そんなこと知ってましゅよの」

B「こんなに沢山の家具の代金を払う金なんてどこにある?」

ピ「つくえばいいじゃなーい、せんせえなや稼げばいいらないのー」

B「バーロー、バーローバーロー! さっさと全部の店に行って謝って来い。それで品物を引き取ってもらうんだ」

ピ「あーん、ピアノ一回弾いちゃ」

B「(ピノコ「らめ?」を遮るように)ダメだ。すぐに行って来い」

「アッチョンブリケ! 」

『ジリリリリリリーン、ジリリリリリリリリリーン』

(電話の向こうからの声)ピ「しぇんしぇい。見つけたのよ。ものすごい特製の患者。病気なの。手術してほちいっていってゆわよ。痛がってあばえて泣いちゃって、死ぬー、死ぬーーって。せんせえ早く来て。そいでもって手術してお金たくさん取ってくらさいのよさ」

娘「ああー、ははーーうん、いったーい、くるしー。ううっ、くるしー、くるしー」

母「先生、どうぞこちらへ」

娘「死ぬー、くるしー」

母「家の娘ですの」

娘「助けてぇー、ああーーーー」

B「いつ頃からですか?」

母「何ですか、突然に、すごーく痛がって。腸捻転か膵臓炎じゃないでしょうか?」

B「うーん、ふんふん。そういう病気だと高熱がでるはずですな。フン、微熱はあるかな?」

母「胃ガンかしら。胃ガンが破れたって事は?」

B「お宅はばかにお詳しいですな」

母「まっ、おほほほほ。あたくし学園の理事を致しておりまして」

娘「あーーっ、いたいー」

母「ひととおりインテリざんすの」

B「今までにこういった症状は?」

母「2〜3回しましたけれども、こんなにひどくは…」

娘「あーーっ、いっそ死なせてェー。あーーくるしーー。おなか、お腹、マァマアー」

B「静かにしなさい。そうですな、すぐに手術しますから、皆さん外に出て下さい」

母「でもォ」

B「さあ、早くッ! でないと手後れになる」

木琴転調音

『ビリビリリーーーーー』服を破る音

B「へっへへへへへへへへ」

娘「あーーーっ」

B「えっへへへへへへへへ」

娘「なっ、何するの! 」

B「ウエヘヘヘヘヘヘ」

娘「ねっ、やめて。いや、やめて、やめて、ママーッ! 」

母「まーっ、ネネコ、どうしたの! ネネコ」

娘「この先生ったら、ネネコの事」

母「何をするざんす。ハレンチなっ」

B「ハレンチ?わたしゃただ手術をする為にお嬢さんの服を、脱がせただけです」

娘「嘘よ、この人あたしを、あたしを…」

B「ハッハ、お嬢さん。所で腹痛はどうなったね?」

娘「ええっ」

B「あんたの体にはどこにも異常が無い。娘さんはヒステリーですな。ヒステリーはよく腹痛や痙攣の真似をします。ヒステリーというのは精神病の一種でね、他人が側にいると発作が起こるんです。一人の時はケロッとしてますがね。まっ、原因をよーくお調べになった方が。案外奥さんの躾のせいという事も…」

母「まーっ、失礼な! 」

B「そう言う訳で手術は不要です。失礼します」

母「あっ、先生。診察料は?」

B「ハッハッハハハハハ、バカバカしい。そんなもん頂けますか」

『バタン』ドアを閉める音

ピアノ転調音

ピ「おかえんなしゃいっ」

B「ただいまっ。お前の言ってた特製の患者に会って来たぞ」

ピ「うわーーい、しゅじゅつらい、いっぱいもやったれすか。ねー、ピアノらけは買えましゅよね」

B「ハッハハハハハハ。そうだな、ピノコの為にピアノだけはこのままにしておくか。今日はピノコのおかげでうんっと儲かったからな」

ピ「うわーーい、うわーーーい」

B「ハッハハハハハハ、ただし、わたしが眠っている時は静かに弾くんだぞ」

ピアノたどたどしく、ねこふんじゃったを弾く

B「ハッハッハッハッハ、ハッハッハッハハハハ」

ピアノ♪

B「(ピアノのメロディーに合わせてくちずさむ)じゃった。じゃった。じゃっ、じゃっ、じゃった♪」

【-完-】

感想・他…旧コミックス3巻第19話「発作」。うん、凄いですね〜。『こんなのブラック・ジャックじゃないっ涙目』って思うよ。岸田さん熱演過ぎ。ほとんどびょーき、だねー藁。変態ブラックジャックが堪能できるの巻でした。

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