『第12話・白いライオン』 劇中台詞 【B=ブラック・ジャック ピ=ピノコ ポ=ポール 園=動物園の職員 ギ=ブラック・ジャックギャング団】 |
『オウッ、オウッ、オウッ』オットセイ、セイウチ類の鳴き声 ギ「皆様」「白いライオン」「ルナルナは」「病気です」「折角動物園においでの皆様」「ルナルナは お休みです」「お断りでゴンス」 『オウッ、オウッ、オウッ』 ピ「ユメユメろこォ?」 B「ル・ナ、ル・ナ、だ」 ピ「ユメユメかあいそォ」 B「ル、ナ」 ピ「ユ、メ」 B「ルナルナ」 ピ「ユメユメェ」 園「これはこれは、ブラック・ジャック先生。わざわざおいで頂きまして。あのぉ、他でもございませんのですが」 B「ユメユ、いやいやっ! ルナルナの事ですな」 園「左様」 ポ「あれは死にかけトオル」 園「う〜〜〜」 ポ「あれは弱っトオル」 園「こちら日本へルナルナをプレゼントして下さった、アンゴラ共和国の方でポールさんでございます」 ポ「私も弱っトオル」 園「何しろ世の中に珍しい白いライオンの子供でございます。毎日2万人の人がルナルナを見る為に押し掛けているんでございます。それが、この所見る事が出来ないとあって『いつ見せるのだ』『早く見せろ』とそりゃあもォえらい騒ぎでございま-」 B「早く見せろ」 園「ああ、はいはいっ」 『コォー、キィーーコオ』檻の扉を開ける音 ギ「白いライオンの子供」「黒いのは耳の先と」「尻尾の先だけ」「ジャングル大帝の」「レオみたい」「お久しぶりでゴンス」 ピ「かあいそォ、あんなに隅っこに縮こまって、震ゆえていゆ」 ポ「出よォー出よォー」 ピ「おいで、いい子」 ポ「可哀想に、物も食べず眠られず、ああしてうずくまっトオル。どの獣医もノイローゼだと言っトオル」 園「環境が変わったせいだろうと言うんですが」 ポ「日本の都会の空気、濁っトオル」 園「いや、しかし清潔な空気も流れるようになっておりますし、見物人も居ないここに移したのに、悪くなる一方なんでございます。このままだと1週間持たないとどの獣医も匙を投げてしまいまして」 B「不定期な嘔吐。痙攣。獣医の言う通りでしょうな」 園「そっ、そんなぁ。子供達に何て言ったらいいんです?何百万通の励ましの手紙が来ているん-」 B「兎に角。ソファに。ルナルナをお借りしたい」 ピ「うわぁ〜、連れて帰ゆの?」 木琴の場面転換音 ピ「ほーや、おいちいお肉食べなちゃい。そえから、シュークリーム、プリン、チキンスープ、ドッグ・フード、キャット・フード、鳥のエサ、金魚のエサ、宇宙食、自然食、代用食…。なーんにも食べないやのよ。ねむいの?いやっしゃい。あったかーいベッドよ。ピノコと一緒に寝ましょう」 ル「クウーン、クウン」 ピ「あーーっ?ルナルナ居なくなっちゃった。ユナユナどこいったの?ユナユナどこ?どこォ?。あれェッ、そうォ、お外でおちっこちて来たのォ」 B「ピノコ、もう構うな。藁でも引いて寝かせておけ」 ピ「とんれもないっ! 」 B「構うな! 」 ピ「イヤら! そんな事れきない」 B「お前を見て分かったよ。ルナルナを治すたった一つの方法がな」 ピ「どうすゆの?」 B「ルナルナを人間から離すんだ。永久に」 ピ「ダメエ! 」 B「いいか、ピノコ。ルナルナはライオンの畸形なんだ。白子と言ってな。どんな動物にも稀にある変わり種だ。どの動物にでもある体の色素が無いんだ。でなければ酷く足りない」 ピ「だかや白いの?」 B「そうだ」 ピ「ふーーん」 B「白子は体が普通のものより酷く弱い。体力が無いから中には日光に当たっただけで参ってしまうものもいる位だ。それにルナルナは生まれた時から大勢の人間の視線に晒され続けている。特に日本にやって来てからは、毎日何万人もの人間に取り囲まれて、眺められ続けた。自由と言うものが全く無くてな。それじゃあ当たり前の者でもノイローゼになってしまう」 ピ「治ゆまで、誰えにも見せなけえば?」 B「そんな事じゃダメだ。それで少し良くなったとしても、人前に出ればすぐ逆戻りだ」 ピ「どうすえばいいの?」 B「ルナルナをアフリカへ帰してやるんだ。人間の居ない原野にな」 ピ「いやあ〜〜ん」 B「わからず屋」 ピ「帰さない。ルナルナ帰さない」 B「それしか助かる方法が無いんだ」 ピ「いや、いや、いや、いや、いや〜〜ん」 B「こらっ、ピノコ。ルナルナを離せ」 ピ「いやーん」 B「こらっ! 」 ピ「せんせえ、日本中の子供に恨まえましゅー」 B「ビノコ……。お前はまともな体になりたくないのか?」 ピアノ曲 B「そう思った事はないのか?お前は半分以上作り物の体なんだ。だからいつも心の底では一人前の体の女の子になりたいと思っているんじゃ無いのか?ピノコ」 ピ「ビノコ、……ピノコらって」 B「ルナルナもそう思っているだろう」 ピ「ピノコ、……わかった。ルナルナアフリカへ帰してやゆ。でも」 B「でも、何だ?」 ピ「白いルナルナまた捕まっちゃう。珍しいもん」 B「そうだ。それに問題は動物園が俺の言う事を聞くか、だな」 木琴の場面転換音。 園「はいはい、動物園です。あっ、これはブラック・ジャック先生。はい、はい、はい、はい」 ポ「何と言っトオルの?」 園「あっ、ルナルナの病気を治してやると、言っトオルんです」 ポ「ホントオル?」 園「決まっトオル。ああ、もしもし、はい。それはもうルナルナの命を救えるものならば、どんな方法を取って頂いても全てブラックジャック先生にお任せ致しますです。は?はあ」 ポ「何と言っトオルの?」 園「今、話しトオルのッ! 」 ポ「…ごめん…」 園「はっ?あっ、少々お待ち下さい。あのですね、ポールさん。彼はこう言っトオルんですよ。ルナルナを殺すのと、お客をがっかりさせるのとどっちをトオルか?と」 ポ「何言っトオルの! 私、ルナルナを助けてお客喜ばせる方法トオル」 園「はっ、ああ、もしもし、こちらと致しましてはですね、何だか良く判りませんが、ルナルナを助けていただければですね。兎に角ルナルナの命を助けて下さい、よろしく」 『ウオーッ、ウオッ、ウオーーッ』動物の鳴き声 ギ「誰も居ない」「夜の」「動物園」「ブラック・ジャックがルナルナを連れて戻って来た」 園「お待ちしておりましたよ。ブラック・ジャック先生。それでルナルナは?」 B「治療は終わりましたよ」 園「そォーですか」 B「さあ、ごらん下さい」 園「はあ?これは?」 B「ルナルナです。間違い無く」 園「いやしかし、こりゃ全然白く無い」 B「全身の皮膚にメラニン色素を注入した。どうです、普通のライオンと全く変わらない」 園「こっ、こっ、じょ」 B「じゃあ」 園「ど、ど、どう言う事になっトオル?詐欺だこれは。こりゃ詐欺だ」 B「私は言ったはずだ。ルナルナの命は助ける。しかし、それ以外はどんな事になっても責任は持たん、と。失礼」 園「あっ、あっ、あ〜〜〜〜。ポールさんに何と言って言い訳すりゃあいいんだあ。ルナルナが白く無くなっちゃットオル〜〜」 『オウッ、オウッ、オウッ』オットセイ、セイウチ類の鳴き声 ギ「皆様」「白いライオン」「ルナルナは」「病気が酷くて」「アフリカに帰りました」「(皆で)ごめんなさい」 テーマ曲、インストゥルメンタル ピ「せんせえ」 B「何だ」 ピ「ルナルナどうしていゆかしあ」 B「どうしているかな」 ピ「きっと、アフリカの原ゃっぱ走い回ってゆね」 B「そうだな」 ピ「よかったねェ、ルナルナ」 B「ユニャユニャ、れちょ?」 ピ「アハハハハッ、キャハハハッ」 B「ハッハッハッハッハ」 ピ「アハハハハハハッ」 【-完-】 |
感想・他…原作ではポールさんと言う名前は無いが、キョーレツな容姿=大男でアフリカ系の民族衣装ぽい格好。だが普通の言葉で喋っている。しかし、ラジオでは容姿の表現が出来ないので語尾を独特にして外人を表現している。その駄洒落が満載である。これはコミックス5巻の第43話『白いライオン』である。ブラック・ジャックとピノコの絡みも父娘みたいでほのぼのしている。 |
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