妊娠した女郎(売春婦)の堕胎された赤子の魂がその堕胎部屋に集まって形を成した座敷童子である。 |
今は健全な宿屋の体を成してはいるものの、元々は借金の為に売られた女性が働く岡場所。妊娠すると働けないという理由で女達が否応なく堕胎させられていた。宿屋の女将がそれに手を染めていた。人助けと称して。 |
モノノ怪となった赤子達はただ、産まれたい そして愛されたかった
だけである。しかし、赤ん坊なのでその要求を満たす事しか考えられず、無関係の妊婦とその赤子に取り憑き産まれようとした。しかし取り憑かれる側は生死に関わる事となる。 |
父親から望まれないと言う同じ立場のはずの赤ん坊が、母親に限り無く愛されている姿を見た時に、そういう母親がいて、なおかつモノノ怪の自分達にも愛情を注ごうとしたのを知ってうれしかったのだろう。大人しく薬売りに斬られる事を選んだ。 |
逃げて来た女、志乃は妊娠している。4ヶ月後に産まれると言っている割には、臨月の様な大きさに見える。 |
若旦那は恐らく奉公人の金髪で異人の風体の変わった女と遊ぶつもりが孕ませてしまい、両親が孫の為に泣く泣く許そうとしたが、息子が遊びだと判って荒くれ者を使って女を襲わせて(性的な暴行)店に居られなくした上で、人知れず親子共々始末しようと計画した。 |
若旦那を信じていたが、真実を見せられたので(それとも薄々察していたのか)自分の立場に気付いた。なのに赤子を産みたい気持ち、愛しく思う心は変わらない。そして大人の勝手な都合で命に成れなかったモノ達に同情し、等しく産み落とそうとする母性の強い女性である。 |
モノノ怪を受け入れる事は、自身の赤子の死と引き換えであるのを悟り、最後の最後で子供達の魂を泣いて謝り拒んだ。モノノ怪が斬られてから腹部が小さくなっている(適正な大きさに戻った)のは、最初から目を付けられて=お腹に入り込まれて、宿に誘き寄せられたからだろう。 |