第23話「無理を通して殺された」
出刃包丁を的である人に当てない様に投げる曲芸をする揚羽のお蝶。おきんは昔の知り合いでお蝶の技を見に来たのだった。そしてお蝶が昔から世話をしていた侍が一年前に北町奉行所の同心となり、一緒になれると喜んで話すのを聞いておきんも喜んだ。そして、その男村野は有能で、同僚の主水は上役に村野と比べられて立場が危うくなる。しかも、妻のりつが村野を家に招き歓待するので余計に面白く無い。そこへ天神の小六の使いの老人が中村家へとやって来た。小六の居る牢に行くと小六は牢内に刺客が入り込んでいる様だと言い、奉行所が自分を抹殺しようとしているのではないか?と主水に尋ねる。しかし、そんな話は知らない、そんな話があるなら自分に判らないはずが無いと否定。小六は主水に刺客の事を調べる様に依頼する。小六の使いをした老人は何故か錠の家に居た。錠の事が気に入っている様である。しかし、そこへ主水が町方を連れて錠を捕らえにやって来た。小六のいる牢に入れられる錠(主水は鉄も牢に入れたかった様だが鉄はさっさと逃げ出す)訳が判らず不貞腐れた態度の錠は、小六の手下達に決め板=板で尻を叩く、を喰らう。その夜小六から事情を聞く錠。小六の襟に毒針が仕込んであるのに気付く。そこで小六は自分の身の回りの世話をする四人が怪しいと睨む。その大元の犯人は村野だった。村野は錠を小六の警護と推測し、錠を送り込んだ主水が小六と繋がりがあると気付く。その小六に取って代わろうと言う野望を持つ男と組んでの仕業だ。お蝶の家を訪ねる村野は、お蝶に筆頭与力の養女にして貰い、婚礼を上げるのにはどうしても五十両必要だと言う。そしてお蝶に小六の代貸しをしている男乙松に金を借りさせようとする。その頃小六は牢の中で小刀を投げられ襲われるが錠が阻止する。翌日お蝶は乙松に金を借りるが、利子代わりだと襲いかかられる。咄嗟に簪で乙松を刺し逃げる。しかし、その後村野が現れお蝶を傷害罪で連行する。おきんは主水に訴える。村野と聞いて顔色を変える主水。村野に訴えるお蝶の父=小六の使い、はお蝶を助ける代わりに小六を刺せと言われる。お蝶の父は昔稲妻の井助と言う殺し屋だったのだ。娘の為に承諾する井助。夜喧嘩騒動を起こすのでそれに紛れて小六を刺せと言う村野。しかし、それは錠に阻止される。その様子を見ていた村野は、一計を案じ牢に火をつける。牢内が騒然とする中、井助は何者かに殺される。牢から解き放される囚人達。お蝶も解き放ちになりおきんの元へ行く。小六は手下達に連れられ、乙松の元に監禁される。解き放ちから三日後には戻らないと死罪なのを逆手に取り小六に自分に跡目を継がせる証文を書かせようとする乙松。頑なに拒む小六。仕置人達は小六からの依頼料百両で請け負ったが、小六の居場所が判らない。三日目になりお蝶には囚人の集合場所に戻る様に言う。ふらふらと戻るお蝶を心配して後をつけたおきんは、村野を見つけて後を追うお蝶を見た。小六の所に行く村野。小六は村野を見て、主水と比べたら月とスッポンだと笑う。村野はそれに対して本心『出世の為には利用出来る物は何でも利用する、女でも』と言うのをお蝶は聞き、思わず包丁を投げつける。しかし、それは村野には当たらずお蝶は村野に斬り殺される。おきんは主水達の元に小六の居場所を知らせに戻る。鉄が乗り込み小六の戒めを解く。そしてそこに合流した錠と三人で乙松達を仕置きする。主水は村野と正面から立ち会い斬り捨て、死体に唾する。りつ村野が手柄を立てて=乙松の仕置、死んだ事を惜しむ。
ツボったみどころ。天神の小六が鉄顔負けの強さを見せ自らが仕置する。こんなすごい親分に信頼されている主水カコイイ。
第24話「疑う愛に迫る魔手」
鉄達の住む観音長屋がいつになく静かなのは、大家が家賃の取り立てをしているからだ。この長屋の連中はほとんど家賃を払っていない。錠はその頃大家に頼まれて八王子に居た。母親を亡くしたばかりの娘を連れて帰る様に言われたのだ。大家の喜助の元へ長屋を売れ、と炭問屋の金蔵の使いの者が来ていた。が断る喜助。実は金蔵は役人の高嶋と組んで長屋を潰して岡場所を作ろうとしていた。凶作で安く身売りする娘達が大勢いたからである。娘に自分が実の父であると打ち明ける喜助。しかし娘おとよはそんな父を受け入れられず家を飛び出す。そんなおとよを心配し家に入れる錠。そんな錠にヤキモキするおきんだったが、半次が長屋が取り壊されると慌てながらやって来た。長屋の人々を扇動するおきんと半次。大家の元に押し掛けるが、売るつもりは無いと言われ騒ぎは収まる。だが、再び今度は炭屋の金蔵が現れ喜助に昔「暗闇の菩薩」と呼ばれた泥棒だったのを娘にバラされたく無かったら長屋を売れと脅される。仕方なく応じる喜助。早速住民を追い出そうとする金蔵の手下の岡っ引き。一旦炭屋は引き上げたものの、話が違うと再び騒然となる長屋の面々。おとよは皆が喜助の元に談判に押し寄せようとするのを押さえ、自分が話を聞きに行くと言う。しかし、喜助に冷たく足手まといだから八王子に帰れと言われ去る。荷物を纏めるおとよをもう一度話を聞くべきだと錠が喜助の元に連れて行くと、そこには炭屋の手下に殺され金を奪われた喜助の姿があった。金を奪って逃げたものの、死体の始末を炭屋に言いつけられた岡っ引きは喜助の家に戻るが、前に顔を見られたおとよに人殺しと騒がれた為拉致し女郎達と共に監禁され慰みものにされる。喜助がおとよに残した書き置きで事情を察する錠達。長屋を立ち退かせようと高嶋が長屋の浪人を斬り捨てる。それを見て長屋の住人は渋々出て行く仕度を始める。鉄達は炭屋を見張るが警戒が厳重で忍び込めない。そこへ逃げ出そうとしたおとよが捕まり、他の女郎達の見せしめに折檻された挙げ句に死んでしまう。おとよの亡骸を長屋へと運び、錠は手下の岡っ引きを鉄は金蔵を仕置きする。更に錠は高嶋の屋敷へ寝込みを襲い仕置きする。
ツボったみどころ。主水一切登場せず。代わりに錠大活躍。激情に駆られる錠は熱いぜ!
第25話「能なしカラス爪をトグ」
半次が好きになった武家の娘秋絵には優秀な弟の数馬がいた。数馬の通う学問塾には酒や女に溺れる長崎奉行の馬鹿息子隆之助がいた。その母親は馬鹿息子を何としてでも有名学問所に通わせようとしていたが、その選抜試験には案の定落ち、予想通り数馬が合格する。半次はそのお祝いをしたいと主水から強制的に借金する。その際にヘソクリを見られ主水は奥方のりつから庭先に蹴落とされる。試験には落ちたが、隆之助を何としてでも裏口から捩じ込もうと、母親は兄(隆之助の伯父)と画策し金を渡して数馬に入学を辞退させようとする。しかし、拒む秋絵。すると父母への墓前報告に行った数馬は襲われ斬り殺されてしまう。数馬の変わり果てた姿を発見する秋絵と半次。半次はたまらず仲間の元へと相談に行く。「数馬の代わりに入学したものが犯人だ! 」と言う鉄。その頃、秋絵は隆之助に面会し斬り掛かるが反撃され失敗する。母は数馬を斬り殺した男に姉の秋絵も殺す様に命じる。秋絵の家に戻った半次は書き置きと金を見つける。そして秋絵の死体が屋敷の前に捨てられ、発見して泣きじゃくる半次。錠が棺桶を持って来る。淡々と姉弟を棺桶に入れる錠の作業を泣きながら見ている半次。そこへ鉄が秋絵の書き置き通りに隆之助が代わりに入学したと知らせに来る。黒幕の伯父と学問所内の関係者と母親が犯人だと言う。半次は雨宿りで傘を貸してもらったのが縁で姉弟に出会ったと言い、身分違いの自分に優しくする姉弟に好意を持ったのだった。半次は秋絵から貰った金を仕置き料に鉄と錠に仕置を頼む。(主水奥方に蹴落とされ負傷した為、参加できず)錠は隆之助を攫い脅して手紙を書かせる。手紙を受け取った母と伯父は身代金千両に驚くが応じる振りをして相手が姿を現した時点で殺そうと計画する。錠と半次は隆之助を母親の元に送り届ける。半次は母親に対して散々悪態を吐く=殺さない。しかし、鉄は取引場所で隠れていた侍達を背後から襲い、伯父を仕置きした。そして千両箱を担いで帰るが、河原にいた半次に見せたその中身は石ころだった。そう言う奴らだと嘲笑する鉄。
ツボったみどころ。半次に女との事=浮気を奥方りつにバラすと言われ渋々金を貸す主水。試験に落ちるのと庭先に落ちるのとで二段落ちですか?お後がよろしいようで。

第26話「お江戸華街未練なし」
日照りで井戸水が枯れ水を奪い合う人々。だが、江戸に疫病が蔓延していると言い汲み出し制限をする岡っ引き。ある夜、病気の父親の為に水を盗みに来た娘は下っ引きに見つかり、水の代わりにと無理矢理身体を奪われる。父親は戻った娘の異変に気付き問いつめる。水不足を嘆く半次に錠は疫病で死人が出れば稼ぎ時だと言い、鉄も念仏を唱えて稼ぐかとのんきな事を言う。そこへおきんが半次に用があると、あの病気の父親の元へと連れて行く。娘おみのから事情を聞いた父親は仕置人に頼みたいと言うが、娘の持って来た水を仕置き料だと言う。取り合わない鉄。父親は死んでしまい、味をしめた下っ引きがおみのにちょっかいを出しに来る。が、抵抗し簪で男を刺し捕まってしまう。捕り方に来たのは主水で、鉄達四人に話を聞く。水不足は疫病が原因だから仕方ないと主水は言うが、半次達は疫病になった者を見た事が無いと言う。主水も変に思い、上役の筆頭同心に疫病発生の事実と夜に汲み出される御用水の事を聞くが、寺社奉行管轄だからと言われ要領を得ない。半次は夜中に御用水がある屋敷に運ばれて行くのを目撃する。主水は鉄を囚人に仕立てて牢にいたおみのを逃がす。錠と2人で棺桶におみのを入れて逃がそうとするが、役人に見破られ乱闘の末に逃げ出すが、役人に後を付けられてしまい、おみのを見送る際に四人は顔を見られてしまう。翌日、早速人相書きが手配され、すぐに観音長屋の住人であるとバレる。しかも職業から仕置き人の殺しの手口との類似を導き出され正体も見破られてしまう。それを物陰から聞く主水。主水の上役塩見は錠を捕らえに行かせる。錠と鉄の人相書きだけが市中に貼り出された。四人の潜伏先に主水から手紙が届く。南町の筆頭与力と自分の上役とそして寺社奉行が今回の水騒動の張本人達らしいと調べ上げたのだ。そんな中、手配書に貼り出されていない為に油断していた半次が捕まる。折檻され、市中引き回しで打ち首が決まる。それを主水から聞き、罠だと知りつつ最後の仕置をしようと決める一同。おきんは塩見を待ち伏せし顔に炭汁を投げつけ水を売買した金を奪い逃げる。主水は南町の与力の元を訪れ刀の目利きをさせて欲しいと頼み、その刀で切腹に見せかけて仕置する。雨の中半次は引き回され、あわや斬首寸前に鉄と錠が駆けつけ塩見を人質に半次を解放させる。塩見の腰骨を折る鉄。錠もあばれ回り逃走する。そして四人が集まる場所に旅支度の主水が現われる。「俺も一緒に行く」と言う主水に鉄は「皆この場で別れる」と宣言する。反対し付いて行くというおきんと半次。鉄は『表なら皆一緒、裏なら別れる』と小銭を投げる。裏が出て、鉄も錠も半次もおきんも旅立つ。1人残される主水。「世の中裏目ばっかりよ」と二枚張り合わせ裏しか出ない小銭を見て言う鉄。主水は寂しそうに仕事場の奉行所へと入って行く。おわり。

ツボったみどころ。死んで花実が咲くものか! の通りに死なずに居ればまた再会もあると言う事で、このシリーズには珍しく仕置人は最終回誰も死なない。と言うか、基本『正体がバレたら仲間でも殺す』の掟はまだ確立されてないのか、情が湧くのか結束が固くて人間らしくて良い。



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