手塚治虫作品『ブラック・ジャック』の中の未収録作品は3作品。最後にこの作品を微に入り細を穿ち解説しようと思ったのですが、やっている内に恐ろしくなりました。実際に3作品のヤバい度を表わすと
  指<<<<快楽の座<<<<<<<<(越えられない壁)<<<<<<<<<植物人間 だったのです。
思えばこの未収録作品の解説も、作品そのものの解説と言うよりは、なぜヤバいのか?の解説ですね。

●植物人間という作品は、何故ヤバいのか?をやる事自体がもうヤバい、という作品なのですよ。解説を書いてる途中で検索した結果、気分悪くなってマジ吐きそうマジ吐きそう、ってカンジでおぞましすぎてムリでした。書けません。なぜかは書きたくありませんが、ヒントは与えられます。言わんとする所は理解してもらえると思います。そして作品の簡単な解説も出来ます。それで勘弁ね。
ブラック・ジャック未収録話『植物人間』

ヒント

  • 医学でのタブー
  • ↑ほぼ、見切りで人体実験をする事。
  • この植物人間は、今で言う脳死患者の事である。
  • 日本でなぜ臓器提供が他国に比べて遅れたのか?
  • ↑キナ臭い事件があった?(心臓移植事件でググレ)←これが原因

あからさまには出来ないものの、この酸鼻の極みと言うべき事件に於いて、人々がネットが無い時代にも関わらず(臓器提供に対して)激しい拒絶反応を示し続けた、という事実が答えを物語っていると思う。(ああ、言っちゃったw意味ねー)私的には、アメリカの冷凍されて甦りを待つ人間を食い物にしているとしか思えない会社の話、とダブりまくる気持ちの悪さだ。悪いけど、私も臓器提供はしません。人様の臓器も要りません

〜あらすじ〜
ブラック・ジャックが乗船していた船と別の船が濃霧の為に衝突してしまう。救命ボートに乗ったブラック・ジャックは医者なので怪我人の手当てをしている。そこに母親と息子=少年が乗っていて母親は意識不明で男が介抱している。ブラック・ジャックは声を掛けるが、大丈夫と言いながら(母親が美人なので)男は介抱を続ける。ブラック・ジャックは気になりながらも金持ちらしい男の治療をする。と、急に少年が泣き叫ぶ。慌てて母親の元に駆け付けて男に聞くと、呼吸が止まってしまって心臓も止まっていると言う。ブラック・ジャックは急いで心臓マッサージの処置をする。しかし、心臓は動いたものの脳に酸素が行かずに植物人間(脳死状態)になってしまった。病院の医者は「もっと早ければ」「ブラック・ジャックが金持ちを優先させたからだ」と少年を煽るのだった。そこへブラック・ジャックがやって来て、植物状態だと診断された男が生き返った例を話す。その患者は最初からちゃんと意識があった、と言う。母親もそうかも知れない、と言い少年に母親の意識があるかどうか試してみないか?と提案する。最初はブラック・ジャックを恨んでいた少年も、口説き落とされて承諾する。ブラック・ジャックは手術で少年の脳と母親の脳を電極で繋ぎ電気を流して反応を見た。手術後、少年は母親は喋れないし、見えないけどちゃんと生きていると言っていた、と母親と会話したのだと言う。そして「ぼくは、おかあさんをなおすぞっ。医者になって!それまで、お母さんは生きてるってさ!」と決意する、お話。

《軽く作品に対する解説》

まず、この話の問題点はブラック・ジャックの行った手術が意味不明って事でしょう。漫画だからこそ本来は許されます。しかし、現実これ信じたら大問題。このブラック・ジャックの実験?手術ですが、この脳みそって体外的には記憶の蓄積装置(体内的には生命維持装置)に過ぎないので、変な刺激を受けて母親との幻覚を見聞きした可能性も否定出来ないと思います。あくまで夢に似たモノって事ね。そして、私も中学校の時にアメリカ人の女子学生が『パーティーで酒と精神安定薬を混ぜて飲んで、人工呼吸器につながれたままの所謂、植物人間になった話を初めて聞いて知ったのでした。担任がクリスチャンだったんだよねw。DQNがドラッグ使っておかしくなった?としか思えず(酒に薬混ぜてヒャッホーしてたんだと認識していた。アメリカではそういうやり方でハイになるのが流行ってる、みたいな事を当時聞いたし〈薬は水で飲む〉のが私の常識だったから。だいたいパーティーでやらかしたってのもね…)、なのでこれは病気や事故と違って多分に自業自得的な事態なんじゃないか?と当時思ってたし、担任も道徳的な観点から一時の欲望が身を滅ぼすみたいな意味の事を言ってた=流石クリスチャン&教育者だねっ!、けど、世間一般的には同情している風潮だった。この話を聞いてから【詳しく知りたい人は『カレン 植物人間、』でググってね】続々と植物人間と呼ばれる人間の問題がテレビで提起されていた所に先生のこの漫画、と言う訳。ヤバいよね〜)んだよね。人工呼吸器という文明の利器のせいで、今まで助からなかった患者を死なせない様にしたせいで植物人間と呼ばれる人が増えたのである。安楽死させる=人工呼吸器を外す、かどうか?(おいおい、ドクターキリコかよ)って事だったと思う。植物人間を抱えた家族の問題=助かる・治る見込みが無い現状維持状態だけど、入院費はバカにならない。家族の金銭的負担と精神的な苦痛などなど色々出て来るよね。(ブラックジャックでもスターシステムのドンドラキュラが医者で患者の家族に金銭的負担がものすごいかかる話があったね)もう、こりゃ植物人間=脳死=安楽死&臓器提供、と問題山積状態じゃん。なのに、このブラック・ジャックの言う様に意識が少しでもあったら、地獄でしょう。定義的に、意識がある=生きたまま、安楽死させられたり臓器取られる訳でしょ?もう何も判らない死んでる様な状態だからって言われて遺族扱いされてるからやっと納得してる状態なのに、こんな可能性を1%でも出されたとしたら、誰も家族は安楽死させたり臓器の提供なんてしないでしょうね。だってもうこうなると、エドガー・アラン・ポーの『早まった埋葬』『アッシャー家の崩壊』そのものだもん。
生きながら解剖されたくありません。そういう疑いが全く無いわけでは無いんですよね。外側=他人目線、だけで判断できないって事でしょ。心臓は動いてる訳だし。そうやって生きながらだんだん体が腐っていくんなら別ですけど。それなら心臓はうごいてるけど完璧死んでるなって思えるし。
だからこれが封印作品決定なのも当然だと思うよ。3作品でマジ一番ヤバいじゃん。
倫理的・道徳的な問題ではなく、医学の発展を邪魔してるから=権力者側から見て不都合で削除される可能性が高い、って意味だけど。
ってなんのかんの結構書き尽くしてしまった気がwする。指みたいに冗談めかして書ける問題じゃ無いです、これ含めての2作品
あと、追加でもう一つ書いとくね。私は後々まで知らなかったんだけど、平成の一時期にかなり言葉狩りに近い表現の規制があって、(今では、当時の表現をそのまま、なんたらとか言い訳する事でそのまま差別的用語とか表現をそのままにしてもオッケーみたいな免罪符になってる)その時にブラック・ジャックの『木の芽』という作品がえらいことになっていたんですね。
どうえらいことになったのかというと、弟の体から木の芽が出てくるのでブラック・ジャックに相談して来て見てもらうんですね。親には言わないのか?とブラックジャックが聞いたら「知らせない方がいい。弟がカタワだと知ったら悲しむから」というこのカタワと言う言葉がアウトだったんですね。だったら、作品ごと封印しろよ!と言う結果になってしまったのです。あろうことかこのカタワを病気と言う言葉に入れ替えたのですよ。
そっちの方がヤバイって!病気になったらこんなに非難されるのか、と勘違いしちゃうでしょう。少年漫画で何やってるねん。具合が悪くなっても言い出せない子が出るよ、良いの?
片輪というのは、身体機能に欠損があり健常人と比べると満たない部分がある、と言う意味だから単純に身体障害者にすれば良かったんじゃないか?意味合い的にはそっちでしょう。
そうやってみるとエドガー・アラン・ポーの「ちんば蛙」原題はホップフロッグ=飛び跳ねる蛙=醜い小男が飛び跳ねるように歩くので、その様を言ってるんだけどそれも考えると酷いといえば酷い。
状態を表す言葉が悪口に使われるようになって差別用語になったにすぎないと思われるんだよね、今の差別用語って。それに比べて人間以外に例える方が酷くはないだろうか?って思うのよ。あんたどう思う?どうってことねえか、って必殺のOPの宇崎竜童のセリフが浮かんで仕方ないのでした。