ブラック・ジャックとの出会いは本誌連載の『木の芽』であった。少年漫画はジャンプなんかは夏になると終戦特集漫画やってたし、マガジンはツチノコだのオカルトかってカンジ=後のMMRwまあ、他各誌ちょっと少年が読むにはトラウマ植え付けまくりな漫画が多かったんで、このブラック・ジャックもそういう類いの際物にしか思えなかった。だって体に植物が寄生って…。な訳もあってブラック・ジャックが最初恐怖コミックスだったのもうなずける話なのである。そのままなら絶対に買わなかったと思うけど、友達から借りて読んでハマってしまった。ブラック・ジャックは一見冷たそうに見えて人情家な面があるので、後にヒューマンコミックスに名を変えたのだろう。ブラック・ジャックの一番の魅力は失敗する人間として描かれているからである。常に隙が無く御都合主義のヒーローでは無い所だ。『針』では、山田野先生に「人間の体をあなどるとしっぺがえしを喰らう」と忠告されて理解出来ないでいるとその通りになり、『ときには真珠のように』では本間先生から「人間が生き物の生き死にを自由にしようとはおこがましいと思わないか」と言われた後で本間先生の手術を行うが救う事が出来なくて落胆したり、やはり手術そのものは成功しても結局は患者が事故で死んでしまう(←映画の【ファイナル・デスティネイション】ぽい)という『ふたりの黒い医者』ではドクターキリコに「生き物は死ぬ時には、自然に死んでしまうものなんだ。それを人間だけが無理に生きさせようとする」とブラック・ジャックに運命に対する人間の無力さを投げかけている。同じく救っても患者に自殺される『されどいつわりの日々』でも、病気の完治だけでは患者が救えないジレンマに悩む。法外な値段を要求しながらも、彼が本当に求めているのは患者の生きる事への真剣さ、と患者が完治して幸せに生きていってもらう事なのである。だから、彼等が完治後にトラブルがあった場合や不幸な最期を遂げた時、彼は大幅な値引きをしたり返金したりしている。
これはどう捉えたら良いのだろうか?構図や話も正確にリメイクしてあるので、結局は【絵を見てくれ】と言う事なのだと思う。それ以外に見方がわからない。【手塚治虫の古い絵では無くて現代的な絵柄にしたら、ブラック・ジャックはイケてるよねっ!! 】って主張なのか?いやそれ以前にブラック・ジャックが海賊の親玉ばりの悪人面なのはイケてないと思う。読後感は同じコミックをダブりで買って損した様な気分にさせられた事は確か。
これはいいねっ!! もう絶賛惜しまないよ。独特の絵で、難を言えば所々で子供がディフォルメされすぎてる=小さいというか人体的なバランスが…が気になったけど、特に2巻はかなり独自性がある。ピノコの側から見た『畸形嚢腫』の話は知ってるはずなのに、(途中まで全然判らなかった)こういう見せ方されるとホントに別のオリジナル作品の様である。作品的に大人になったブラックジャックファンの為に描かれた新ブラックジャックだと思う。クオリティ高いもう少し読みたかった。
、ブラックジャックスペシャルと題する23名の漫画家が、ブラックジャックを描いたものである。オリジナルあり、リメイクありのブラックジャックならなんでもありな企画である。よって自分の漫画の登場人物とコラボさせたり(狼少女ランなつかしす、元花とゆめいと)、ブラックジャックの設定自体を自分のワールドに引き込んでみたり、あんたブラックジャックよりもキリコのファンでしょってのが丸判り漫画だったり、本当に色とりどりというカンジだ。手塚先生の御子息も描いているが、『殺し屋ジャック』って…。医者と真逆の商売なんだが、というか卒倒しかけた。もう一編の原作を手掛けてる方のが良かった。やればできる子じゃん。個人的に好きなのは村上ミオの「秘密の顔」(話がダントツ面白かった)とサスペンス調に仕上げてある「春一番」のリメイク(映画よりもいいかも)鳥羽笙子「連続絞殺魔事件」と、超反則技御茶漬海苔(ハロウィンなつかしす)のリメイク「猫上家の人々」それと「死への一時間」のドクターキリコが超カコヨスなんだが…。、 手塚先生がブラックジャックのモデルにしたという噂(本当かどうかは謎)の「むこうきずのチョンボ」である。作者のみなもと太郎は昔少女漫画でも読んでた。これも掲載されていたのは月刊少年マガジン=読んだ事ある、なのだが絵的には少女漫画のそれもなかよしと言うよりは週刊マーガレット的だと思っている。


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